一般質問の全文です。
※中野区からの回答を追記した概要バージョンはこちらをご覧ください:
令和2年度第1回定例会にあたり、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告通り、その他はありません。
1.命を守るための子育て支援について
1)虐待にいたる前の取り組みについて
令和2年度予算において、子育て先進区に向けた取り組みの数々が進んだことを、おおいに評価いたします。しかし、年末に他区で新生児を放置し死なせてしまった痛ましい事件は、皆様の記憶にも新しいかと思います。いくら行政が制度を用意しても、本当に必要としている人の手に届かなくては意味がありません。
中野区では令和3年度に児童相談所を含む総合子どもセンターの設置準備を進めていますが、児童相談所は虐待における最後の砦であり、その機能を十分に活かすためにも、虐待に至る前の支援の充実が重要です。問題が深刻化する前に、誰もが気軽に手助けを得られる環境が必要ではないでしょうか。
例えば一時保育は、事業化された当初は緊急的な子どもの預かり場でしたが、今では孤立や子育て不安を払拭するための、レスパイト機能としての必要性が高まっており、柔軟性の高い一時保育を要望する声は、今も大変多く届いています。
厚生労働省の子ども虐待対応の手引きを要約しますと「子ども虐待は、どこにでも起こりうるという認識にたち、一般子育て支援サービスを充実させることが重要」とあります。
現在区では、支援の必要な子育て世帯の早期洗い出しはできているようですが、一層支援の手をめぐらせ、子育て世帯を社会的孤立から救っていくべきです。それこそが、基本構想でうたわれる「未来ある子どもの育ちを地域全体で支えるまち」につながっていくでしょう。
中野区すこやか福祉センターについて
流入世帯、核家族化の増加でサポートがなくなってしまった多くの子育て世帯へ、産前産後はいうまでもなく、小学校入学や反抗期など、どの成長段階でも寄り添い、子育てについて新たな視点や気付きを得られるような取り組みを拡充すべきです。
質問です。すこやか福祉センターは切れ目のない子育て支援をうたっています。講演会や講座の充実をして集いの場を担えれば、身近な相談拠点となります。今後、フィンランドのネウボラのような「子が成長していくまで寄り添い身近に子育てを支える考え方」として、今よりもさらに親しみを感じていただける場を目指してはいかがでしょうか?
しかしながらつい先日、すこやか福祉センターでの子育て相談の予約で、1ヶ月以上待たされたという話をききました。現在枠に対して相談件数は、余裕がないようです。予約の電話をくださった方々は、今、子育てをしている、切実に困っている方々でしょう。特に小さな子どもは1ヶ月でもどんどん成長し、状況が変化します。勇気をもって相談くださった方へ、しっかり対応すべきです。
質問です。各すこやか福祉センターの子育て相談は即時受けられるよう、枠や人員の拡充をしてください。また、緊急度が高そうなものは枠外でも対応するそうですが、さらなる徹底を求めます。
ホームスタートなどの訪問支援を
さて、厚生労働省の発表にて、心中以外の虐待死事例で死亡した子どもの年齢は、0歳が28人(53.8%)と最も多く、生まれたての子どもがいる生活は、喜びが大きい反面、心も体も負担を感じる場面が多々あります。
妊娠期間中は病院からの手厚いフォローがありますが、産後の「こんにちは赤ちゃん訪問」後は次の3ヶ月検診まで2ヶ月ほど空き、特に初産婦は新生児連れの外出に気を使う時期で、必要最低限外に出ない生活を送る方もいます。
また、現在区産後ケアは大変手厚くなっておりますが、利用条件に該当せず、潜在的に孤立しがちな産後の家庭を、もっと地域につなげていくべきです。
ホームスタートという考え方があります。未就学児がいる家庭に、研修を受けた地域の子育て経験者が訪ねる、家庭訪問型子育て支援ボランティアです。親子と共に過ごし家事支援や傾聴、時には一緒に公園や子育てひろばに外出するなど、地域の支援や人々とつながるきっかけづくりも応援します。都内12箇所、全国105箇所の自治体でもとりいれられており、杉並区でも子育てよりそい訪問事業という近しい施策があります。
質問です。ぜひ区でも、ホームスタートなどの訪問支援をすべきです。いかがでしょうか?
産後のデイケア廃止はなぜ?
ところで産後ケア事業ですが、来年度から中部と南部すこやか福祉センターの産後のデイケアが廃止になるという話をうかがいました。中野区は国に先んじて産後ケアの取り組みを進めてきましたが、今回はサービス縮小ということでしょうか。
質問です。廃止の根拠を教えてください。今後区は、利用していた方々へ、どのような対応をしていくのかも、合わせてお示しください。
在宅育児家庭への支援について
次に、在宅で育児をしている家庭への支援について、保育園や幼稚園に入園させているよりも孤立しがちで、さらには施設利用による税の恩恵もうけていません。それぞれの子育て環境の選択を尊重し、整えていくのが行政の責務です。
区の幼稚園と保育施設の利用状況より、在宅育児家庭は3歳未満で53%となっています。
区は現在地域向け支援として保育園の園庭開放をしています。それを登録制にして、継続的に遊びの紹介や身体測定など、在宅育児家庭のパートナーとなる「マイ保育園」事業が、全国的にも広がりをみせています。また、世田谷区では児童館での登録制サークルや、自主保育グループの活動支援も行っています。
質問です。在宅育児家庭へも支援の手をひろげ、活動支援や孤立を防ぐ取り組みを進めるべきです。いかがでしょうか?
多胎児育児への支援拡充を
さて、昨今、社会的にも困難な育児環境と認識が高まっているのが多胎児育児、双子や三つ子をもつ家庭です。晩婚化と不妊治療で出生割合は増加していますが、実は多胎児の虐待死は単体児の2.5~4倍でおきています。同時に二人以上の妊娠・出産・育児に伴う、身体的・精神的な負担や経済的な問題、多胎児ならではの困難さに直面する家庭も少なくありません。
特に問題になっているのが、移動困難で、保育園に入れるまで、家から出られなかったという声もありました。
区では今予算で多胎児支援を拡充、産後ケア利用時に使用できる移動補助サービスが始まるとのこと、おおいに評価いたします。そして都では、移動経費と家庭サポーター事業として外出時補助が始まります。
質問です。都補助を導入して、さらに使いやすい多胎児育児の移動支援拡充に取り組んではいかがでしょうか?
多胎児育児に関してもう一つの大きな問題は、情報不足です。認識は高まっているものの、理解は進んでいません。当事者である保護者自身も、妊娠期間中の不安や、産前想像していた以上の産後の大変さ、知識不足があるそうです。
産前のこんにちは赤ちゃん学級を多胎児向けで行うには対象者は少ないですが、例えば動画やDVDでの講座を用意することはできるでしょう。また、現在の多胎児の会は年に各1回づつ、北部と中部すこやか福祉センターにて行われていますが、参加者から「多胎児同士でしかわからない悩みが共有でき大変よい機会でもっと参加したかった」との声もありました。今後移動支援ができれば、より訪ねやすくなるでしょう。
質問です。子育て支援の職員の方には、多胎児の家庭の困難をより一層理解してご対応いただくよう求めます。また、多胎児の会の回数や参加できる場所と人数を拡充し、情報交換・交流会にプラスして、多胎児育児経験者による相談支援会へと発展させてはいかがでしょうか?
地域包括ケアにダブルケア対策を、そして人財を
次に、今後大きな問題になってくるのが、ダブルケア、育児と介護など複数の課題を担う家庭です。団塊の世代全員が75歳以上になる2025年以降、団塊ジュニア世代がダブルケア家庭として大きなボリュームとなるでしょう。
複数の問題に対応しきれず、どちらに対しても後悔する、という話をききました。仕事への制約、精神的な負担、金銭的な問題もからみ、新たな社会リスクといわれています。本腰を入れて取り組んでいかなければ間に合いません。
例えば子育てに配慮したケアプランを作成できるなど、職員の認知や連携は進んでいますか?
質問です。地域包括ケアの考え方の中にダブルケア対策をしっかり位置づけてください。今後、育児と介護両方の知識をもった人材が必要になると考えますが、いかがでしょうか?
育児困難な環境、要因を多く有しているからといって、必ずしも虐待につながるわけではありません。しかし、区でも虐待問題を発生予防の観点でとらえ、支援拡充することを求め、この項を終わります。
2)ひとり親家庭への支援の拡充について
平成30年11月兵庫県明石市が、市独自の養育費不払い建て替え制度の方針を示し、大変大きな反響を呼びました。厚生労働省の調査にて、ひとり親家庭の約8割が離婚家庭、そのうち養育費の支払いをうけているのは約25%、四人に一人の割合だからです。
都では我が立憲民主党都議の所属する会派が要望しつづけ、令和2年度予算にて明石市と同様の養育費確保支援事業が始まることとなりました。養育費をもらうのは「親権者の権利」ではなく、健やかな成長のための「子どもの権利」です。海外では国で養育費を給与から天引きして強制徴収、未払いを立て替えるなどの制度があります。養育費が支払われることは、世界的な常識です。
質問です。貧困の連鎖を断ち切るためにも、ぜひ、都の補助を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか? これを機に、ひとり親家庭へしっかりとした相談体制が現在もあることを示して支援につなげ、さらに一層の拡充を検討してはいかがでしょうか。
ひとり親家庭への就労支援を
次に、自立に必要なのは就労と住居と言われています。
平成30年度「母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況」にて、ひとり親の世帯人員1人当たり平均所得金額は107.3万、児童のいる世帯180.7万を大きく下回ります。
子育てしながら働ける職探しや、ライフステージに合わせた就労形態の変更は困難です。ひとり親、困窮・子育て・女性・就職氷河期世代と、要因が複合的に重なることが多い状況です。
困難を抱える一人一人に寄り添った就労支援に「ユニバーサル就労」があります。平成29年に導入した静岡県富士市へ視察に行ってまいりました。「さまざまな理由で働きたくても働けないすべての人が、その個性や意欲に応じて能力を発揮し、社会を構成する一員として社会経済活動に参加する」ことが基本理念です。
既存の就労支援窓口と必要があれば連携、仕事の切り出しをすることで既存支援の対象外の方でも、相談に来た方に合わせたオーダーメイドな支援を実現しています。
また、令和元年12月東京都産業労働局「都民の就労の支援に係る施作の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」が制定がされました。
質問です。今後ユニバーサル就労の考え方を参考に、ひとり親家庭などの一般就労が難しい方へ踏み込んだ支援の検討をしてはいかがでしょうか?
ひとり親家庭への住居支援について
ひとり親家庭への住居支援について、こちらもまだ不足している状況です。公営住宅への入居は倍率が高く、区では他に居住関連で金銭的補助はなく、安全で手ごろな住居を確保するのは、経済的制限、入居を拒まれる例などもあり困難です。
しかし母子生活寮へは、より状況が深刻な方が入るため自分は該当しない、敷居が高く抵抗を感じるという方もいます。また、一定の収入があっても、公的補助が減って税金などが高くなるため、生活が苦しくなりがちです。
NPO法人全国ひとり親居住支援機構では、空き家を活用したシングルマザー向けシェアハウスを全国に広げる支援活動をしており、豊島区の物件を見学しましたが、居住者同士の見守りや助け合いが成り立ち、子育てに安心安全な環境が提供されていました。また、杉並区ではリノベーション空き家の提供と居住に関してのトータルな伴奏型支援を、千葉県流山市では洗濯代行店を併設して職まで提供しています。
質問です。ぜひNPOと連携を視野にいれ、ひとり親家庭向けシェアハウスの誘致や初期費用の補助や空き家有効活用など、孤立を防ぐ居住支援の拡充をしてはいかがでしょうか?
ところで、ひとり親家庭にて、家族の中に自分以外の大人がいれば気軽に相談できたことも、ひとりで思い悩んでしまうことがあるとききました。
子ども心にも大きな影響を与えます。相談してくる家庭を待つのではなく、虐待対応と同様、深刻になる前から支援の手をのばしていくべきです。
質問です。ひとり親家庭への心のサポートを、もっと拡充していくべきです。託児付きで参加ハードルを下げたグループ相談会や、子どものケア講座などを開催すれば、自分と同じ立場の方々との交流を通して、それぞれが抱えている思いや悩みを話し、ひとり親が背負ってしまいがちな責任感、孤独感を共有できるのではないでしょうか?
私自身も、ひとり親家庭で育った、当事者の一人です。
区が今後、こどもの権利条例の検討を進めることは大変評価します。子どもを取り残すことなく寄り添い、心と権利が守られる社会を目指すことをお約束して、この項を終わります。
3)障がいを持った方との共生社会実現にむけた取り組みについて
本年はオリンピックパラリンピックが開催されます。特にパラリンピックは障がいの有無にかかわらず楽しめ、共生社会への大きな希望であり、その機運は維持継承していくべきです。
障がいの有無を超えた関係づくりを
都ではインクルーシブ公園整備を進めることが話題に。区でもユニバーサルデザインの考え方が浸透、区有施設のバリアフリーの環境整備も少しづつ進んでいますが、ハード面はもちろん、ソフト面の支援拡充もさらに進めていくべきです。
当事者や興味のある方を対象とした講座ばかりではなく、普通に暮らしている方が参加しやすい形態を目指すことで、自然と共生社会が広がるのではないでしょうか?
先日の地域の勉強会にて、ダイアログインザダークという、視覚障がいの方を先頭に全員が白伺をついて、暗闇の中でさまざま体験するイベントの紹介がありました。私も10年以上前に参加したことがあります。光ひとつない暗闇の中、一般的に健常者といわれる私たちは一歩も動けなくなりますが、視覚に障がいを持った方はすいすい歩けます。
障がいとは生きるのに困難がある状態を指し、暗闇の中では私たちが障がい者となるのです。逆をいえば、困難を抱えた方が共にすごせる環境を進めていけば、世の中から障がい者と呼ばれる方は減っていくのです。
また、東村山市では、一般の方の電動車椅子体験や脳波でドローンを飛ばすなどが行われるなど、魅力的なイベントはみんなが関心をもちます。
質問です。障がいの有無を超えた関係づくりの機会を、区でも持つべきです。ぜひ区でも、インクルーシブなイベントを開催してはいかがでしょうか?
障がい児の一時保護を拡充すべき
次に、障がい児の一時保護に関して、疲れている時に休みたい要望が多く、特に未就学児を預かれる場所は限られており、支援する家族が笑顔でいられる環境構築を、さらに進める必要があります。
突き詰めていくと、少子高齢化の進展と共に、福祉サービスに対するニーズが急増、福祉人材不足にたどり着きます。喫緊の課題に対し、就職支援金、継続勤務手当などの導入も視野にいれていくべきです。石川県金沢市では「職場のお墨付き」という、一定基準をクリアした職場を市が証明し、安心して働ける環境を提供しています。
質問です。障がい児の一時保護を拡充すべきと考えますが、いかでしょうか? 今後利用しやすい制度を整えるためにも、地の理を生かし大学との連携も視野にいれ、福祉人材確保や定着支援を充実してはいかがでしょうか?
障がい児向けサービスの選定・申込までできる支援員を
次に、障がい児を持った方の家族は、介護や就労などの合間に、自分たちに必要なサービスを探し、自分たちで申し込んでいるとききました。
介護保険のケアマネージャーのような動きができる相談支援員は大変少なく、サービスのコーディネイトには専門の知識が必要のため、家族の大きな負担となっています。
長野県上田市「障がい者総合支援センター」では、家庭への訪問相談、各種サービス提供にかかる援助調整までおこなっています。
質問です。申し込みまで支援できる相談支援員を増やし、家族の負担を軽減できる施策の充実をしてはいかがでしょうか?
特別支援教育支援員の拡充を
さて、近年の制度改正により、障がいがあっても出来る限り同じ教室で学びを提供するという考え方が進んで参りました。子どもの時期より、相互に人格と個性を尊重し支え合い、多様なあり方を認め合える環境が進むことを、心から歓迎します。
現在、特別支援教育支援員は学校規模により、およそ1校に1人ですが、特別支援教室(巡回指導)の児童数は年々増加しています。
先生方の働き方改革の視点からみても現場の荷重は大きく、また、より重い障がいの子の対応に集中すると軽度の子が取り残され、幼児期に認められてきた自己肯定感が下がるとの声もききました。
質問です。特別支援教育支援員の拡充はすぐにでも行うべきです、いかがでしょうか。
どんな方も、望むように生きる権利があります。自らの意思で決められるよう行政は整備をしていく必要があり、環境がそれを許さないことは、権 利を奪っていることと同様です。
いち早く誰もが安心安全にすごせる環境整備を要望し、今後も共生社会実現にむけて取り組んでいくことをお約束して、この項を終わります。
4)保育の質の充実について
質問です。区でも補助金が保育士の待遇改善につながるよう踏み込んだ政策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
区では、昨年、保育の質ガイドライン案が示されました。前回一般質問でも申し上げましたが、保育の質ガイドラインは作って終わりではなく、理念を浸透し活用していくことが重要です。保護者や地域の方、区の未来に関わる大切な子どもたちの話だからです。
質問です。社会全体で子どもを育てていく視点で、保育士と事業者だけに留めない、保育の質ガイドラインの活用する取り組みを検討してはいかがでしょうか。
昨年、幼児教育・保育の無償化が始りましたが、子どもたちの健やかな育ちのためには、同時に、保育の質の担保を進めていく必要があります。
人件費において、2019年9月21日号東洋経済で、都内保育園低賃金ワースト80のランクインが区でも4園ありました。もともとの公定価格の低さに加え、本来委託費の8割が人件費とされていたのが、国は待機児童対策のため、企業参入と共に委託費の弾力運用を認め、他施設への流用が可能となったことが、大きな理由とされています。
賃金の高低だけで一概に良し悪しの判断はできませんが、子どもの命を預かり、育ちを支える保育士が大事にされなくて、安心できる保育が成り立つのでしょうか。
こうした問題を受け、補助金が保育士の給与アップにつながるよう、調査しようという動きが広まっています。足立区では保育士が実際に受け取った給与額の調査、千代田区では保育士の賃金台帳の提出を義務付け、世田谷区では保育士の待遇に関する規定を補助金の交付要項に追加しました。
医療ケア児の受け入れについて
さて、保育において昨年は、もう一つ素晴らしい報告がありました。区では、医療的ケアが必要な子どもへ、適切な保育環境を整えて医療的ケア児の保育を推進する方針を出しました。全国的に社会の制度がおいついていないため、対応できる施設は不足、動けても集団の場に通わせてもらえない、保護者などが常に介助する状態が続いてきました。
現在対象となるのは区立保育園2園、区立としての責務をはたし、できる限り集団の保育を認めた区の姿勢を評価いたします。しかし、入園希望を出したくても、どちらも北部のため通えないという声がありました。
質問です。どんな子どもも、地域で成長していける環境構築をさらに進めるべきです。区の中央と南部での医療的ケア児の受け入れを早期に実現すべきですがいかがでしょうか?
幼児教育の有効性が世界的にも認められている中、いつどのように生まれても集団の保育をうける権利が子どもにはあります。
職場復帰と子育てのバランスは自分できめられるよう保育ニーズを的確に把握し、保育の質ガイドラインに添った運営をしていただける事業者を選定、一層の待機児童解消を進める努力を要望いたしまして、この項を終わります。
2.命を守る観点からの広報の重要性について
1)広報の充実について
令和2年賀詞交換会の区長挨拶にて、広報の重要性を語っていらっしゃいました。また総務委員会にて「発信力強化の取り組みについて」と「広報アドバイザーの導入」の報告がありました。
情報は、命を救えます。
冒頭にお話しさせていただいた年末の事件は、制度がいくつもあった中で、情報を届かせる重要性について、心から認識しなおさせるものでした。
私は前職、デザイン業に就いておりました。装飾することととらえられがちですが、大きな意味でデザインとは「目的を達成するために、問題を解決する手段」であり、広報はデザインの中の一つです。
PRや活動紹介などが浸透すれば、区民への情報伝達度もあがり、シビックプライド醸成にも寄与するでしょう。広報に経験値の高い専門家を登用することは、大変有効な手段です。
質問です。チラシやイベントの周知、広報戦略、頑張っていただきたいところはたくさんあります。まずは広報アドバイザーを生かすためにも、ぜひ多く人の目に触れるHPを、利用者目線で改修してはいかがでしょうか?
次に、ICT教育やギガスクール構想など、子どもにもコンピューターが身近に広がっています。情報技術を手段として活用する世代となっていく彼らのためにも、区のHPをより子どもに開かれたものにするべきです。練馬区や港区にも公式HPの中に、親子向けページがあります。
例えば児童館や公園マップに、ボール遊びなど何ができるか特性を明確にすれば、遊びにいく幅が広がるでしょう。そこに目立つよう子どもむけ相談窓口を明記しておけば、いざ困ったとき連絡する先を覚えてもらえます。
質問です。ぜひ親子向けページを作成していただきたいと考えますが、いかがでしょうか?
区職員向けにユーザビリティを学ぶ研修を
さて、情報発信を見直していく中で、職員の方の考え方も、さらにアップデートしていく必要があります。行政サービスが多様化している中、発生した問題や課題に対し、本当は何を求めているのか、利用者目線を大切にしたアプローチが重要です。
総務省の令和元年版情報通信白書にて、データの流通量が爆発的に拡大していることが報告される中、多くの人は自分に必要な情報だけが届いて欲しい、速やかに情報へたどり着きたいと感じています。
HPにおいても、掲載されていればいいではなく、観る側の視点で情報を整理することが重要です。杉並区ではすぎラボという、子育ての情報発信・イベント取材・参加団体・区政の疑問解消などの記事を利用者目線でHPで掲載しています。
このように、徹底的に利用者を中心に据るのが、ユーザビリティという考え方で、浸透すれば、利用者側の評価、サービスの質が高まります。課題発見・解決を、内勤や窓口関わらずすべての職員の方が、日常から利用者の視点、声を意識していくことで、やるべきことが見えてきます。窓口のレイアウト、チラシのおきかたなども該当します。
質問です。ぜひ、全ての場所で利用者目線を意識させるために、区の研修内容にユーザビリティの考え方をとりいれるべきですが、いかがでしょうか?
2)新しいアウトリーチとしてのSNSの活用について
総務委員会では「SNSによる情報発信の強化」も報告され、広報が一層充実することを評価、歓迎いたします。
LINE公式アカウントを取得すれば、日常的に使う若い世代へ情報が届きやすくなります。Webサイトやメール・電話と並んでLINEを「情報発信」や「問合せ受付窓口」に活用する自治体は増加中で、2019年4月時点で累計約600件に上る地方公共団体のアカウントが開設されています。子育て層や若年層と相性のよい気軽なSNS相談窓口は開設するべきです。
また、LINEには子育てや福祉など、欲しい情報に合わせたセグメント配信機能があります。これは、一種の有効なアウトリーチになるのではないでしょうか。
Twitterにおいても、一つのアカウントですべて発信するのではなく、防災やイベントなど、複数活用することで、受け手が自分で必要な情報を選ぶことができます。
質問です。SNS特性と対象者に合わせた有効な発信方法や使い方を、しっかり検討してはいかがでしょうか?
3.南台地域まちづくりについて
1)南台小学校の新校舎整備について
南台小学校の新校舎整備では、昨年の12月に、既存の擁壁を解体し、新たな擁壁を整備する必要があることから、整備期間が当初予定していた2年から最長4年間になることが突然示されました。
児童を含めた学校関係者や地域からも、多くの驚きの声が聞かれました。学校は防災拠点、祭りなどコミュニティの中心として、地域からも愛され、地域と子どもをつなげる場所でもあります。
新校舎整備期間の延長は、生徒にも地域にも大きな影響があります。紙面上だけではなく、地域の実情を把握して計画していくことを、取り組んでいくべきです。再編計画を決める段階でしっかりと調査しておけば、工期の変更は防げたのではないでしょうか。再延伸だけは絶対ないようにおねがいします。
質問です。整備期間中の児童、本来新校舎で卒業できるはずだった児童、そして整備にご理解いただいた地域へと、最大限の配慮をしていだだきたいと考えますが、いかがでしょうか?
2)旧新山小学校の跡地利用について
前回の一般質問でも、旧新山小学校の跡地活用についてたずね、基本計画において活用の方向性を示すと回答をいただきました。2021年より南台小学校の仮校舎として使用される予定ですが、新校舎整備期間の延長により、仮校舎として使う期間も延長されることとなりました。
今後の区立学校の跡地について、総務委員会にて、活用の方策が報告されました。未利用地の少ない中野区において、区が示す学校の跡地活用方策は一定理解できますが、学校は地域でも親しまれ、住民を守り、町の中心となる場所です。学校跡地がどう使われていくかは、町全体に大きく影響します。旧新山小学校跡地は9割が国有地のため、どのような使い方をしていくかを早めに検討しないと、土地の購入も関係いたします。
大阪市生野区の「リノベーションまちづくり」は、今ある町の強みや資源、潜在力をいかした環境を創出し、町のイメージをよりよい方向にかえ、魅力をたかめるという考え方です。視察で話をきいてまいりましたが、町の強みを知っているのは地域で暮らす住民です。地域から愛される場所にしていくためには、区の方針を示しながらも、早い段階から住民に計画参加していただくことが、地域の最大利益につながります。
質問です。幸い、旧新山小学校は新校舎整備期間の延長で、検討にかける時間があります。ぜひ、そこに暮らす一般の住民の声をひろくあつめるワークショップを取り入れ、仮校舎としての使用が終わる前から跡地活用を検討してはいかがでしょうか? また、今後も再編が行われる学校にも、この考え方を取り入れてはいかがでしょうか。
スケジュール感をもって跡地利用の考え方に取り組んでいくことが、統合を理解していただいた地域の皆様のためにもなりますので、ぜひよろしくおねがいいたします。
以上で私の全ての質問を終わります。