令和2年度第1回定例会「一般質問」について、中野区からの回答を追記しました。以下に概要を載せましたので、お読みください。
「一般質問」とは
区政の一般事務の執行状況/将来方針/政策的提言/行政課題などについて、
議員が区長などに直接質問し、公式見解を引き出すことができる重要な機会。区民にとって必要不可欠な政策や制度を整える目的です。
河合りな一般質問の全文はこちらに掲載しています:
1.命を守るための子育て支援について
いくら行政が制度を用意しても、本当に必要な人の手に届かなくては意味がない。問題が深刻化する前に、誰もが気軽に手助けを得られる環境が必要。
発生予防の観点で支援拡充を。
①虐待にいたる前の取り組みについて
●どの成長段階でも、子育てについて新たな視点や気付きを得られる取り組み拡充を。切れ目のない子育て支援担うすこやか福祉センターをさらに身近な相談拠点へ。ネウボラ※の考え方を目指しては。
※ネウボラ……フィンランドで、妊娠期から修学まで、担当の保健師が子どもや家族全体を支援する出産・育児の支援政策。
中野区からの回答: 妊婦や父親が参加しやすい講演会・講座を設定、子育て期も対応する相談拠点として充実。
●すこやか福祉センターの子育て相談予約、1ヶ月以上待たされたという話。子どもはどんどん成長、状況が変化。枠や人員の拡充を。緊急度の高い相談の枠外対応のさらなる徹底も。
中野区からの回答: 1ヶ月以上待つ場合があることは認識。常勤心理職の配置、雇い上げによる相談体制強化。適時適切な相談対応をはかる。
●区の産後ケアの利用条件に該当せず、潜在的に孤立しがちな産後家庭を地域につなぐべき。ホームスタート※など、区でも気軽な訪問支援を。
※ホームスタート……未就学児がいる家庭に研修を受けた子育て経験者が訪ねる家庭訪問型子育て支援ボランティア(他自治体の取り組み) 。地域支援とつながるきっかけにも。
中野区の回答: 現在「ケア支援者派遣事業」を行なっている。リスク要因が高い方以外も、子育ての不安やリスクがあることは承知。他自治体の実施方法なども参考に研究を。
●来年度から中部と南部すこやか福祉センターの産後デイケアが廃止。廃止の根拠、利用していた方々へどのような対応を?
中野区からの回答: アンケート分析結果、子育て仲間づくりの期待も大きかった。利用者ニーズを踏まえ、デイケア事業を整理。助産院等の委託型産後デイケアの拡充と、地域育児相談会の数増をはかり見直し。今後も適切な事業を案内していく。
●それぞれの子育て環境の選択を尊重し、整えていくのが行政の責務。在宅育児家庭の支援として、現在区が地域向けに行なっている保育園園庭開放を登録制へ、育児パートナーとなる「マイ保育園」事業など、活動支援や孤立を防ぐ取り組みを進めるべき。
中野区からの回答: 孤独な子育て解消は重要課題と認識。保育園・児童館など事業を実施しているが、在宅乳幼児親子の孤立を防ぐ取り組みや、より効果的な周知方法を検討。
●区では今予算で、多胎児家庭の産後ケア利用時に使用できる移動補助サービスを。都の移動経費と家庭サポーター事業(外出時補助)を導入して、移動支援拡充を。
中野区からの回答: 都補助について、今後補助要件などを確認し、区での活用を検討したい。
●多胎児育児の情報、理解不足。産前のこんにちは赤ちゃん学級を多胎児向けに動画やDVD講座で用意しては。子育て支援職員は、多胎児家庭の困難をより理解して対応を。
中野区からの回答: 専門職へ、研修会や情報収集を行い、理解を深めるように努めており、今後も共有化を図る。
●現在の多胎児の会「多胎児同士でしかわからない悩みが共有、よい機会、もっと参加したかった」との声あり。多胎児の情報交換・交流会、回数や参加できる場所と人数を拡充、多胎児育児経験者による相談支援会へと発展を。
※ピア相談会……当事者自身が相談員となる、経験をいかした相談会
中野区からの回答: 多胎児の育児経験者によるピア相談会などについても実施できるよう検討。
●今後大きな問題となるダブルケア、育児と介護など複数の課題を担う家庭、新たな社会リスク。職員の認知や連携を。地域包括ケアの考え方の中にダブルケア対策を。
中野区からの回答: 全世代型地域包括ケアにおいて、適切に位置づける。必要に応じて専門部署と連携、職員の専門分野に加え、関連知識も必要。スキルアップに努める。
②ひとり親家庭への支援の拡充について
●都の令和2年度予算における「養育費確保支援事業」。養育費を受け取るのは子どもの権利。都補助を導入を。相談体制が現在もあることを示し、さらなる支援・拡充を。
中野区からの回答: 区では子ども総合相談窓口に専任の母子・父子自立支援員を配置、支援。周知をはかる。専門家が講師の養育費などのセミナーや相談会の開催予定、ニーズを把握、きめ細かい支援拡充を検討。
●ひとり親は、困窮・子育て・女性・就職氷河期世代など、要因が複合的。ユニバーサル就労※の考え方を取り入れ、一般就労が難しい方へ踏み込んだ支援を。
※ユニバーサル就労…… 一人一人に寄り添った就労支援。既存の就労支援窓口と必要があれば連携、仕事の切り出しで既存支援の対象外でも、オーダーメイドな支援を実現。
中野区からの回答: 就労の難しい方に、それぞれの所管で、実態やニーズに沿った就労支援を実施。誰もが自分らしく輝けるための就労を実現できる状況を作り出すことは重要。参考にする。
●ひとり親家庭への住居支援、公営住宅入居は倍率が高く、区では他に居住関連の金銭的補助はなく、安全で手ごろな住居を確保するのは困難。NPO連携を視野にいれ、ひとり親家庭向けシェアハウスの誘致や初期費用補助や空き家有効活用など、孤立を防ぐ居住支援を。
中野区からの回答: 民間事業者などと連携した居住支援の拡充、住宅確保に配慮を要する区民などへの支援とも連携、よりよい対応方策について研究。
●相談してくる家庭を待つのではなく、深刻になる前に支援の手をのばすべき。ひとり親家庭への心のサポート拡充を。自分と同じ立場の方々との交流を通し、背負ってしまいがちな責任感、孤独感を共有できるのでは。
中野区からの回答: 交流会や子育て相談会については、来年度実施。精神的な負担の軽減につながる事業展開を。
③障がいを持った方との共生社会実現にむけた取り組みについて
どんな方も望むように生きる権利が。自らの意思で決められるよう行政は整備をしていく必要があり、環境がそれを許さないことは、権利を奪っていることと同様。
中野区からの回答: 誰もが安心安全にすごせる環境整備を要望、今後も共生社会実現にむけて取り組む。
●ハード、ソフト、両方の支援拡充もさらに。当事者や興味ある方を対象とした講座だけでなく、普通に暮らす方が参加しやすい形態を目指せば、自然と共生社会が広がる。障がいの有無を超えた関係づくりの機会、インクルーシブなイベント開催を。
中野区からの回答: 障がい理解促進のための活動をおこなっている関係団体があり、支援や連携も含め、これまで興味や関心がなかった方々も参加できる取り組みを検討。
●障がい児の一時保護は未だ要望多く、未就学児を預かれる場所は限られ、支援する家族が笑顔でいられる環境構築を進めることが必要。少子高齢化の進展、福祉サービスに対するニーズ急増、福祉人材不足。就職支援金、継続勤務手当などの導入も視野に、一時保護拡充を。
中野区からの回答: 一時保護事業は施設上の制約でただちに拡充は困難、手立てが必要と認識、工夫する。区立障がい児施設以外での障がい児の一時保護は、事業者等の協力を得ながら実施方策を研究。福祉に係る人材の確保、雇用や定着に課題があることは認識。区としてできることを検討。
●障がい児を持った家族は、介護や就労などの合間にサービスを探し、申し込む。介護保険のケアマネージャーのような動きができる相談支援員は少なく、家族の大きな負担。障がい児対象のサービス申し込みまで支援できる相談支援員を増やし、家族の負担軽減できる施策充実を。
中野区からの回答: 相談支援専門員は育成に長い年月を要する。幼年期や成長期における課題や対応策・療育など、障がい児に特化した専門知識が必要。親支援の側面も大きく、障がい者支援とは異なるスキルが必要と認識。長期的な視点で育成支援方策を研究。
●近年の制度改正により、障がいがあっても出来る限り同じ教室で学びを提供。子どもの時期より、人格と個性を尊重し支え合い、多様なあり方を認め合える環境が進むことを歓迎。しかし特別支援教室(巡回指導)の児童数は年々増加。特別支援教育支援員は学校規模によりおよそ1校に1人だが、拡充を。
中野区からの回答: 配置について、学校現場での現場や今後の見通しをふまえ検討。外部の団体の協力を得ることも含め、他区の取り組みも参考しながら研究。
④保育の質の充実について
幼児教育の有効性が世界的にも認められている中、いつどのように生まれても集団の保育をうける権利が子どもにある。職場復帰と子育てのバランスは自分できめられるよう保育ニーズを的確に把握、保育の質ガイドラインに添った運営事業者を選定、一層の待機児童解消を進める努力を。
●昨年、幼児教育・保育の無償化。子どもの健やかな育ちのためには同時に、保育の質の担保を。命を預かり、育ちを支える保育士が大事にされなくて、安心できる保育が成り立つのか。区でも補助金が保育士の待遇改善※につながるよう踏み込んだ政策が必要。
※保育士の待遇改善……保育士の人件費において、もとの公定価格の低さに加え、本来委託費の8割が人件費とされていたが、国は待機児童対策のため企業参入と共に委託費の弾力運用を認め、他施設への流用可能に。
中野区からの回答: 保育士キャリアアップ補助金の審査書類として、賃金台帳や財務情報など公表データ提出を求め給与額や人件費率把握を、人件費率の低い事業者には今年度保育士などの給与に関する調査を実施。来年度改善の見込み確認が不十分な事業者は、処遇改善計画書提出を求め、進捗管理を徹底。
●区で保育の質ガイドライン案を作成。作って終わりではなく、理念を浸透し活用していくことが重要。社会全体で子どもを育てる視点で、保育士と事業者だけに留めない取り組みを。
中野区からの回答: 保育士などを対象とした研究会で、年間13回開催、保育士施設への周知、活用を図る予定。区立保育園での保育の質ガイドラインの活用事例など、保護者、地域に対しても報告・周知する機会を検討。
●医療的ケア児※の対応、全国的に社会制度がおいついていない。区では医療的ケア児の、環境を整え保育を推進。対象の区立保育園2園はどちらも北部で通えないという声あり。どんな子も、地域で成長していける環境構築のため、区の中央と南部での受け入れ早期実現を。
※医療的ケア児……医学の進歩により、人工呼吸器などの医療的ケアを、日常生活において必要な子ども。
中野区からの回答: スペースやバリアフリー化など施設環境の確保が必要なことから、令和3年度以降、受け入れ委施設拡充を図る。
2.命を守る観点からの広報の重要性について
①広報の充実について
●情報は命を救える。年末の事件は制度がいくつもあった中で、情報を届かせる重要性を心から再認識。大きな意味でデザインとは「目的を達成するために、問題を解決する手段」であり、広報はデザインの中の一つ。広報に経験値の高い専門家の広報アドバイザー登用は有効手段。HPを利用者目線で改修を。
ICT教育やギガスクール構想など、情報技術を手段として活用する世代となっていく子ども達のために、目立つ位置に子どもむけ相談窓口を明記した、親子・子どもページ作成を。
中野区からの回答: 区政情報の内容により閲覧者が異なるので、広報アドバイザーの助言や提案を受け、利用者視点で防災や子育てに関するページを見直し、トップページも改善したい。親子向けにわかりやすいページの作成も取り組みたい。
●職員の考え方も、発生した問題や課題に対し本当は何を求めているのか、利用者目線を大切にしたアプローチを。内勤や窓口関わらずすべての職員が、日常から利用者の視点・声を意識することでやるべきことが見える。区の研修内容にユーザビリティを。
※ユーザビリティ……徹底的に利用者を中心にすえて考える手法。
中野区からの回答: 若手職員を対象に、ユーザビリティを含めたデザイン講座や広報マインド研修を実施。広報アドバイザーには職員のデザイン力向上、広報マインドの醸成に寄与する研修等の企画・実施に参画してもらう予定。充実を図る。
②新しいアウトリーチとしてのSNSの活用について
●LINE公式アカウントを取得すれば、若い世代へ情報が届きやすいなど、SNS特性と対象者に合わせた有効な発信方法や使い方を。
中野区からの回答: 現在も情報の拡散性などを考慮、今後LINE公式アカウントで情報発信も行う予定。効果的で効率的な情報発信を工夫したい。LINEは業務改善の視点から各種手続きの活用についても検討。
3.南台地域まちづくりについて
①南台小学校の新校舎整備について
昨年12月、新校舎整備期間が、既存の擁壁を解体、新たな擁壁を整備する必要があり、当初予定2年から最長4年間になることが突然示された。整備期間中の児童、本来新校舎で卒業できるはずだった児童、地域へ、最大限配慮を。
中野区からの回答: 学校と協議を行いながら、校舎改修工事を進める。通学安全指導員の増員、安全対策も進める。整備期間中でも地域連携に必要なサポートを。
②旧新山小学校の跡地利用について
南台小学校の仮校舎として使用予定が、新校舎整備期間の延長で仮校舎期間も延長。学校は地域で親しまれ、住民を守り、町の中心となる場所、町全体に大きく影響。「リノベーションまちづくり」、今ある町の強みや資源、潜在力をいかした環境創出、イメージをよりよい方向にかえ、魅力をたかめるという考え方。区の方針を示しながら早い段階で、町の強みを知る一般住民の計画参加が地域の最大利益に。声をひろくあつめるワークショップを取り入れ、仮校舎として使用が終わる前から跡地活用の検討を。今後再編が行われる学校にも、この考え方を。
中野区からの回答: 個別施設の整備にあたり、住民との合意形成の手法として、他自治体でも様々な手法を用いており、より幅広い主体の声を区政に反映できるよう検討。