令和6年第3回定例会にて決算総括質疑を行いました。
※文章が長いため文字数を省略したので、全文詳細や正確な質疑は中野区議会議事録をご確認いただき、疑問等は直接気軽にお問い合わせください。SNS等で断りなくHP文章の一部を切り取る行為はご遠慮ください。
目次
1、令和5年度決算について
(1)決算の特徴について
(2)歳入について
(3)歳出について
(4)財政指標について
2、公園について
(1)公園での取り組みについて
(2)プレーパークについて
1、令和5年度決算について
(1)決算の特徴について
R5年度は、新型コロナウイルス感染症が5類に変わり、経済が回り始めたことで、数字の上では景気も良くなったようには見えた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻等の影響もあり、急激な物価高騰を実感して苦労される方も多く、さまざま給付金が支給。
中野区のR5年度決算に大きく影響を与えたのは、当初予算時から想定されていた「区役所新庁舎整備と平和の森小学校用地購入」、加えて「急激な物価高騰」、それに伴う「各種給付金」の3つ。
まずはそれぞれ確認する。
R5年度当初予算の概要p13を振り返ると、当初の一般会計予算総額の増減率はR4年度と比べR5年度23.9%増、当時全国5位だった。
特に「新庁舎179億円」と「平和の森小用地購入87億円」は、増減率に大きく影響。「平和の 森小用地」は87億円を用地特別会計から繰り上げ償還し、特別区債を当初予算通り78億円発行。
「新庁舎」「平和の森小用地」の影響は?
●「新庁舎」「平和の森小用地」それぞれ、財政白書(令和5年度決算の状況)P3、4の歳入歳出、主にどの部分に影響を与えたか。
中野区の回答:
歳入:「平和の森小用地」は特別区債、「新庁舎」は特別交付金、歳出:共に普通建設事業費。
当初予算から大きく変わるような影響は?
中野区の回答:
「新庁舎」費用として、特別交付金を13億円増やせた。
「新庁舎」、今後R6年度以降に予定されている歳入と金額は?
中野区の回答:
「中野駅新北口駅前エリア再整備」の転出補償金260億円。
6/19第二回定例会総務委員会「中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業費の進捗について」では、施行予定者がヒューリック株式会社を除いた4者に変更となった報告。
完成までには何か起きるかわからない。例えば事業進捗が遅れた場合は?
中野区の回答:
歳入:転出補償金の遅れで収入が見込めない。歳出:区債の金利、まちづくり事業の執行などに影響が想定される。
監査意見書p49「特別区債の発行状況」で、「新庁舎」区債は償還期間1年、満期一括。
元々「新庁舎」は「中野駅新北口駅前エリア再整備」の転出補償金を建設費に当てる予定。
償還 時期と補償金の入ってくる時期とのズレは、どのように対応するのか?
中野区の回答:
さまざまな選択肢を用意して、区民サービスに影響が出ないように対応する。
1年償還、毎年延期されれば利子も増えるのか?
中野区の回答:
負担増える。
今回、想定以上の歳入確保ができた。
今後の事業進捗が読めない中、想定以上の歳入は、区債の繰り上げ償還に当てては?
中野区の回答:
想定以上の歳入が確保できた場合、基金繰入金の増額や区債発行を取りやめる運用を行なっているが、金利上昇の局面においては、繰り上げ償還も一つの選択肢として今後検討したい。
次に「物価高騰」について。
R5年度は、区民や事業者へ、国や都、また区独自の物価高騰対策があった。
今定例会の会派の山本議員の一般質問にて、物価高騰の影響で、新型コロナ感染症関連委託を除いたR5年度委託料総額は、前年度比で7.6%増の199億円と答弁。
年度途中の補正予算で事業者に給付した委託料総額と財源は? 財政白書:歳入歳出の、主にどの部分に影響を与えたか?
中野区の回答:
事業者への補助金に係る事業費の決算額:1億8000万円、財源:都補助5000万と一般財源1億3000万円。歳入:都支出金、歳出:扶助費。
そもそもR4年度時から想定される物価高騰は、R5年度当初予算に反映されているか? 物価高騰の状況は、何か数値があって予算に反映されるのか?
中野区の回答:
具体的な数字は難しいが、事業者からの見積もりを聴取して、直近の物価高騰の状況を十分に踏まえ見込んで、当初予算を編成。数値はない。
経年で計画を立てている「財政フレーム」には反映しているか。どれくらいの物価上昇を見込んでいたか。
中野区の回答:
各部の予算要求で見込まれている。具体的な数字は難しい。
国や都から来年度の物価高騰を示す予測の指標はないのか。
中野区の回答:
具体的な数値はない。総務省平均消費者物価指数は過去 の物価高騰を示している。
R4年度の物価高騰を見込みながらR5年度は当初予算を組んだが、年度途中で、国や東京都から事業者や区民向けの物価高騰対策があった。
物価上昇はそれほど急激だったのか? 新型コロナウイルス感染症が始まった頃、またR4年度と比べて、R5年度の物価上昇率は?
中野区の回答:
総務省令和5年度の平均消費者物価指数は前年度比3.3%増。R2年度と比較すると6.3%。
やはりR5年度は物価上昇が急激だった。
年度内の急激な物価高騰は、年度当初に予想できないものか?
中野区の回答:
消費者物価指数は前年に対しての過去との比較。予測しづらい。
当時は急激な物価高騰のために「いち早く、区独自で補正を」という声もあったが、確か区が補正予算を組んだ後に都が補正予算を遅れて出し、混乱があったと記憶。
振り返って過去の国や都の物価高騰対策について、区の見解は?
中野区の回答:
国や都の動きは事前に把握できる情報が限られ、区が実施すべき対策の判断は難しい。
区独自補正を繰り返しても中野区内だけ状況がよくなることはあり得ない。
2度手間となる混乱や無駄を省くためにも、先んじて区独自で取り組むより、国や都に声を届けて広域で取り組んでもらう必要があるということか?
中野区の回答:
国、都の担うべき役割を踏まえ、広域的に取り組むべきもの。要望など働きかけていく。
中野区では国や都の動きに上乗せした独自補助があった。丁寧に、広域での事業の不足を把握して対応したことを評価。
区財政への物価高騰の影響を過剰に心配する声もあり。
実際に物価が上がると、たとえば歳入歳出に影響はあるか?
中野区の回答:
物価が上がると、歳出が増加する一方、人件費の上昇で特別区民税・固定資産税・法人住民税など財政調整交付金の原資である調整税等も増加するので、歳入も増加。
ここまでを踏まえ、今後の急激な物価高騰時はじっくり腰をすえ、国と都の動き見計らって、着実に対応していくべきと考えるが、区の見解は?
中野区の回答:
支援が必要な方に対して適切な時期に必要な支援を届けることができるよう、国や都の動向を慎重に見極める。
急な物価高騰のために実施された「給付金」について。
補正で実施された給付金の総額と、財源は? 財政白書(P3、4)歳入歳出の主にどの部分に影響を与えたか?
中野区の回答:
各種給付金の決算額:52億円、財源:地方創生臨時交付金41億円、その他補助金2億円、一般財源約10億円。歳入:都支出金、歳出:扶助費。
R2年度から国や都の物価高騰対策が続いている。
区としては今後も物価高騰や国の政策に紐づいた物価上昇などのために、国や都から給付金が出ることを想定しているか?
中野区の回答:
現在国による経済対策の一環で、年金生活世帯や低所得者世帯を対象とした追加の給付金による支援が検討されている。今後も必要な対策を国や都も検討すると考えられる。
給付金は、当初予算にはない多額の事業。
R5〜6年度と、当初予算から給付金を想定した人員配置か? 毎年度続くことを見越した体制整備が必要ではないか?
中野区の回答:
R5年度、6年度は年度当初から総務部に給付金担当を設置、担当職員も配置。臨時的な給付金等の事業実施に当たって、あらかじめ人員を見込むのは難しいが、臨時的な事業に対応できるよう、国等の状況を注視して体制を検討。
難しいとは思うが、人員配置に余裕がないと難しい、引き続き検討を。
区独自の給付金の中には、年度途中で、食費の物価高騰の影響をうける子育て支援世帯への支援として給食費相当分の「価格高騰支援給付金(学齢児童生徒世帯支援)」があった。
年度当初から各会派の給食費無償化の要望があった中、決断が遅かった印象だが、私立学校や特別支援学校を含め、すべての区内の児童・生徒に等しく支給できたことは評価。
決算説明書p240、執行率83.2%。給付金残と業務委託費残が大きい。
財源は? 対象世帯数に対して支給割合は? 財政白書(P3、4)歳入歳出の主にどの部分に影響を与えたか?
中野区の回答:
事業費:6億円、財源:地方創生臨時交付金約3億7000万円、一般財源約2億4000万円。対象世帯1万2977世帯に対して1万2640世帯に支給、割合97.4%。歳入:都支出金、歳出:扶助費
制度の都合上、給付型で申請制となったため、抜け掛けがないよう丁寧に周知し、支給を要 望。
給付金残がある、周知の工夫は?
中野区の回答:
ホームページ、対象世帯には申請書を送付。申請のない世帯には勧奨通知も送付。
給食費無償化をできていれば、今回の事務費は不要であった。やはり年度当初の早い決断が必要ではなかったかと考える。
(2)歳入について
冒頭の3つの影響を勘案しても、R5年度は好決算。監査意見書でも大きな指摘はなく、国が地方公共団体の健全性をチェックするための指標も問題なし。
主要施策の成果P5に補正予算が加わった予算と決算の差引額、前年度増減額などが一覧に。歳入歳出、当初予算から変わる部分がある。今後の予算積算の精度を上げるため、各区分を確認。
まずは「特別区税」、当初予算とさほど変わらない。
「特別区税」の中でも「特別区民税」は、前年R4年度の区民所得に対して課税され、少し前の区内景気が反映される。納税義務者数は、当初予算時に増想定が、決算時に減。納税額は増となった。
財政白書p6、7を見ると、徴収率に区の努力が見られ、R5年度は23区平均と同率となり評価。
「特別区税」増の主な要因と、「特別区民税」の詳細は?
中野区の回答:
要因は「特別区民税」2億4700万円増。一人当たりの総所得金額等が増え、R4年度に比べ200万円以下の層の納税義務者数の割合が減少、200万円を超える層が増加。
●8/28区民委員会で「令和6年度(2024年度)特別区税の当初課税状況(6月末現在)について」が報告。
R5年度との差、読み取れる今後の想定は?
中野区の回答:
当初課税における「特別区税」の調停額のR6年度は、R5年度と比べ2億3600万円減。一人当たりの所得額や納税義務者数は増加したが、定額減税の実施や寄付金税額控除額の増により、決算額も今後減少想定。ただし、定額減税による減税分は全額地方特例交付金で交付される。
定額減税がなかったと想定した場合、R6年度見込みは?
中野区の回答:
R6年度会計年度ベースの定額減税の推計額は13億円。定額減税がないと仮定した場合、区民税現年課税分の現時点での決算見込み額は369億円程度、R5年度決算額と比較し10~11億円増。
財政白書(p8)景気動向に影響される「特別区交付金」、当初予算より大きく上振れ。
主な要因の詳細は? 23区全体も同じような状況か?
中野区の回答:
固定資産税及び市町村民税法人分をはじめとした調整税等が前年度比3.2%、653億円伸びた。当初予算と比べ、普通交付金:約19億円、特別区交付金:20億円増。各区若干状況が異なることもあるが、基本的には同様の状況。
8/30総務委員会で「R6年度特財政調整の当初算定について」が報告された。
「財政調整交付金」のR5年度との差、読み取れる今後の想定は?
中野区の回答:
令和5年度の普通交付金決算額438億円、当初予算と比較すると78億円増。令和6年度の当初算定額403億円で、財産費の前倒し算定分が除かれたため減り、R5年度決算額と比べ縮小したが、調整税が伸びているため昨年度同程度と見込まれる。
「財政調整交付金」はその年に必要なものを毎年算定するものでは? なぜ前倒し算定は起きたのか?
中野区の回答:
財政協議で都と23区の話し合いが行われ、毎年の時々の算定内容が協議される。都と区で需要に大きな考え方の差があり、交付金の算定残が大きく増えたため、必ず決められている財産費の前倒しがR5年度協議で行われ、算定に組み込まれた。
前倒し算定は、今後にどのような影響を与えるか?
中野区の回答:
中野区の基準財政需要額に大きく見込まれれば、「特別区交付金」は増、低くなればマイナス。今後の都区協議を注視して、交付額を見込みながら、財政運営を図りたい。
この後の協議によって変わってくるということは、今後の影響は見えにくいということか?
中野区の回答:
都から報告もあるので見込みながら、内訳わかりやすくなるよう、しっかり分析する。
今回「特別区税」も「特別区交付金」も上振れした。特にこの二つは基幹収入、大きな影響。予算積算の精度をあげないと、納税してくださる区民に還元できない。
国からの補助金となる「国庫支出金」、当初予算より減。
決算説明書P38「国庫負担金」の生活保護5億円減、p56中野駅周辺整備8億5千万円減が大きい。
それぞれの理由は?
中野区の回答:
生活保護費:見込み差。中野駅周辺整備:社会資本整備総合交付金の交付が区の要望額を下回った。
都からの補助金の「都支出金」は、当初予算から大きく増。
決算説明書p64、冒頭確認した給付金全般が、国から都を通じて「地方創生臨時交付金」として支給され大きな影響に。
これら給付金の影響を除いた場合の、都支出金の増減は?
中野区の回答:
地方創生臨時交付金は、R5年度約47億円、R4年度12億円。都支出金は、R5年度約190億円、R4年度152億円。臨時交付金を除いた都支出金は1.4%、1億9000万円余増。
「寄付金」全年度比658.6%増、当初予算比でも139.5%増、ふるさと納税寄付金の増が影響。返礼品の拡充など、区の努力を評価するが、毎年、区民が区外にふるさと納税をしたために流出した額は増加、当初予算時想定は27億円。
決算時のふるさと納税流出額は?
中野区の回答:
24億1000万円。
想定よりは伸びなかったものの24億円、かなりの流出額。毎年指摘されているが、本来区民が享受するはずの行政サービス分なので、引き続き国への抜本的な見直し、区としてふるさ納税を集められる努力を。
基金の取り崩しを指す「繰入金」51億円と「特別区債」発行を20億円抑制できた。
その理由は?
中野区の回答:
歳入歳出の決算状況等を総合的に判断し、必要最小限で基金繰入、区債発行を行う形で抑制。
要するに、歳入が多かったから、繰入金と区債発行を抑制できた。
さらに予算書p21「特別区債」には予定起債一覧。監査意見書p49に掲載「特別区債の発行状況」が決算時の結果。
どの起債を残すかの基準はR4年度決算特別委員会で、会派の森議員より質疑した際に「補正予算編成時点及び出納整理期間それぞれにおいての歳出の執行状況、歳入の収入状況を踏まえた上で、総合的に判断」と答弁があった。
やはり基準はないのか?
中野区の回答:
区債発行222億円。決算状況踏まえて総合的に判断している。
23区の中で数区、R5年度起債しなかった区があった。将来的には中野区でも起債0を目指す考え方もありうる。
今後の動向が読めない中で、区債を使う理由は?
中野区の回答:
建て替えや施設更新に多額の費用が発生、世代間負担の公平かを図るため必要。一方、今後は金利上昇による利息の増加が見込まれ、区債発行は財政状況を鑑みて慎重に検討していく。
実際に、財政白書(P115)地方公会計による決算の比較分析「有形固定資産税減価償却率(事業用資産)」を見ると、この数値は公共施設の老朽化を示しており、中野区は23区平均よりも 低い水準であり、更新が進んでいる。
令和元年の財政白書では、中野区は23区平均より高く、区民一人当たり有形固定資産も少ない。
数字上の建て替えは進んでいるが、古い施設はまだ残っている。今回、財政白書の第2部「財務類に見る中野区の財政」の「4、施設別財務書類」で、各施設の有形固定資産減価償却率の全体の計年推移と個別の情報を出したことを評価。
中野区では公共施設の更新を、ここ数年積極的に実施している。
基金と起債を活用しているからこそ、積極的な施設更新ができているのか?
中野区の回答:
計画的な基金の積立及び区債発行によって実施できているものと考える。
区債活用は、低金利の時代有効であったが、例えば、現時点で持っている区債の金利が1%上がった場合の増額分は?
中野区の回答:
年間3.5億円増が見込まれる。
日銀が政策金利をマイナス金利解除後に0.25%と上げ、日本経済は「金利ある世界」に戻りつつあると言われている。
この局面では今まで以上に起債を抑えていく考え方が必要では?
中野区の回答:
世代間の負担の公平を図る観点から起債は必要と考えるが、抑制も重要。基金と起債のバランスをとりながら財政運営を行っていく。
区の財政白書では「新地方公会計による財務書類」が掲載、公会計制度に基づく財務書類や決算情報を活用し、わかりやすい決算の情報提供に努めていることを評価。
主要施策の成果P61に「特別区長会調査研究機構の調査研究に参加し、区政経営に効果的に活用できる方策を研究」と記載。
「公会計」の研究で何をしたか? 活用は庁内に対して効果があるか?
中野区の回答:
「文献調査及び先行事例調査」「23区に対するアンケート分析」「活用方法のケーススタディ」の三つの調査研究を実施。結果、予算編成における参考情報としての活用、公共団体における財政運営方針の見直し等、公共施設マネジメントにかかる検討資料としての活用など、活用策を提案する形で研究をまとめることができた。一方で、財務諸表の活用で得られる情報は、あくまで意志決定の判断材料で、「公会計」は区政経営改善の一助とすることが重要。庁内に対する効果は、公会計制度に基づく財務書類や施設別のセグメント分析により費用対効果の明確化や職員コストの意識の醸成を図っている。
「公会計」を活かしている自治体は実は少なく、中野区が活用に向けて努めていることを評 価。
数値から読み取れることで、今後区として改善したいことなどはあるか?
中野区の回答:
あくまで意思決定の判断材料であり、区政経営にあたっての一助とすることが重要。使用料の算定や基金の積立について「公会計」を活用。今後も他自治体の事例を参考にしながら更なる活用に努めたい。
(3)歳出について
財政白書p4「歳出の状況」の義務的経費のうち「人件費」、当初予算時は定年引き上げ が理由で減る想定。
昨年度と比較し、定年引き上げの影響を除いた場合の額と理由は?
中野区の回答:
退職手当の執行額を除いた場合の決算額約194億円、前年比6億7000万円増。給与の増改定及び会計年度任用職員の配置数増が主な要因。
この年は人事院勧告にて給料表の改定があった記憶。人数減でも給料自体は上がった。
「人件費」科目である「関係人件費」など、予算減額と比較して決算額と差、理由は?
中野区の回答:
「関係人件費」等の各会計を合わせた予算額約290億円、決算額201億円、8億円執行残。予算積算時の見込み差。内訳は「任期付き短時間勤務職員の積算数と実績数の差」「育児休業取得者など休業・休職者の見込み差」「共済費事業主負担金の見込み差」「会計年度任用職員の見込み差」等。
R5年第4回定例会12/1総務委員会「中野区職員定数管理計画に係る進捗状況について」と比べ、「定数条例職員」「定数条例除外職員」それぞれ計画と決算時の人数に差がある。
差の理由は?
中野区の回答:
R6年4月1日時点の「定数条例職員」2033人、「定数条例除外職員」169人。推計値との差は育児休業取得者の増が主な理由。
今後「人件費」は、予算概要p29の将来想定をしている「財政フレーム」上で横ばい。
冒頭の通り、例えば物価高騰の影響が続く中で「給付金」なども続くと考えられる。
突発的な事業に対応する人材を、さらに充実させる余力はあるか。
中野区の回答:
毎年の定数査定段階で、各所属の業務状況を適切に把握する他、年度内に生じた突発的な事業は、必要に応じて兼務発令などによる全庁的な応援体制を組むことで対応したい。
私としては、定数に比べて余力があるのではないかと考える。この続きの詳細は会派のいのつめ議員より質疑を行う予定。
財政白書p4「歳出の状況」、社会保障の一環や住民福祉の増進の経費となる「扶助費」は当初予算時よりも41億円増。
理由は? 「給付金」はこの年度に限られた支給のため、その影響を除いた場合は?
中野区の回答:
補正予算で計上した「価格高騰給付金」「教育・保育給付費」の増の影響。「給付金」の影響を除いた場合の「扶助費」は、R4年度と比較して約3.1%増。
今回「扶助費」の中に「給付金」が入っている。
それを除く「扶助費」が増加した場合、「経常経費」に影響するか?
中野区の回答:
大きく影響する。
当然に「扶助費」の伸びを注視する必要はあるが、監査意見書P5「経常一般財源および経常経費充当一般財源等の推移」を経年比較しグラフを作成。
歳入の伸びから、区で使い道を決められる「経常一般財源等(水色)」は大きく伸びているが、比べると「扶助費(赤)」の伸びは緩やか。
誰1人取り残さない区政の実現に向けて必要な政策であれば、住民福祉に寄与する「扶助費」増は必要であり、区の現状の財政規模の中で余力があると考える。
区の見解は?
中野区の回答:
「扶助費」に限らず必要な経費を精緻に積算して、時代に必要な区民ニーズに沿った施策に反映させていきたい。
高度経済成長期は「投資的経費」が中心であったが、成熟社会に変わり福祉分野の「扶助費」増が数値変化に出ている。「経常経費」が順調な中、「扶助費」が関係する分野には、今後も予算を振り分けていただきたい。
借入の返済等に使われる「公債費」。冒頭で確認した通り、「平和の森小用地の繰り上げ償還」の影響で大きな数値だが、当初予算時から想定されていた。
過去の財政を確認すると、「公債費」が低く、H17年度から数値のある「公債費負担比率」が5%を下回ったのは、R2〜4年度のみ。逆にいうと、ここ最近は好調すぎたと言える。
国が定めた「財政健全化法」による「健全化判断比率」の指標のうち、「実質公債費比率」を とっても、数字上においては堅実な「公債費」の運用。
「平和の森小用地の繰り上げ償還」の影響はこの年度に限られるため、その影響を除いた場合の「公債費」は?
中野区の回答:
15億円。
影響を除いた「公債費」、R4年度と比べ、増減とその詳細は?
中野区の回答:
1.5倍の増加。R4年度に発行した「中野二丁目地区第1種市街地再開発事業」の区債償還が始まったことが主な要因。「公債費」は特に問題ないことを確認した。
道路や施設づくりに使われている「投資的経費」。
「新庁舎整備」の影響で額面は大きいが、当初予算時よりも減。
理由は?
中野区の回答:
契約額との差額や事業の進捗状況による減が大きいと分析。
監査意見書でも「翌年度繰越しが21件と最近で最多」と指摘。監査意見書p25「翌年度繰越事業」区民費と健康福祉費の繰越しの多くは国の事業の影響、それ以外がまちづくり推進費。
中野区は今、100年に一度のまちづくりが進んでいると言われており、財政白書p29普通会計決算の比較分析より「区民一人当たりの普通建設事業費」は、23区内で比べると、中野区はR4年度も高い位置にあったが、R5年度はさらに特出。
新庁舎の影響もあるが、まちづくりの大きな進展がここに現れている。
そのため、工事の遅れなどが繰越しとなると、大きな額となる。
進捗含め予算精度を上げることは難しいのか?
中野区の回答:
事業の進捗管理を強め、的確なマネジメントを行い、事業の進捗に問題が生じた場合は速やかに報告を徹底するなど、予算精度の向上に努めたい。
「その他の経費」では、基金を指す「積立金」増により当初予算時より増、歳入好調が読み取れる。
基金の詳細は会派の斉藤議員より質疑を行う予定。
個別の事業、特に会派要望について。
R5年度、子育て支援ハンドブック「おひるね」発行。「中野区子どもの権利に関する条例」について掲載、編集部分も工夫。私の周りでは、情報の集約と一覧性から、喜ぶ声があり。ご尽力いただいたことを、大いに評価。
発行部数は? どこで配られているか?
中野区の回答:
発行部数は1万冊。区役所3階子ども総合窓口、子ども・若者支援センター、すこやか福祉センター、児童館などで配布。
区として「おひるね」の評価は?
中野区の回答:
区民にとって見やすい冊子とするため、子育てカフェやWEBアンケートを実施。子ども・教育政策課、子育て支援課、すこやか福祉センターの職員でPTを設置、内容の充実に努めた。ライフステージに応じて使いやすい情報を掲載できた。
「実質ひとり親家庭への子育て支援給付金」23区初の取り組みとして話題に。さまざまひとり親家庭への支援の充実に感謝。
財源と、執行率とその理由、当初予算時の想定数と利用数は?
中野区の回答:
全て一般財源で賄った。執行率31.7%。予算積算時に児童手当受給者のうち、離婚前提別居により児童手当を受給している世帯を当該給付金の支給対象と想定したが、実際には所得制限や親との同居など、要件に合致しない方が一定程度含まれた。離婚前提別居により児童手当を受給している世帯が50件強のため、支給件数は60件を想定。実績は14世帯、19人。
初年度は数字がよみにくい。実際に利用されて良かった。
評判は?
中野区の回答:
区独自で制度を設けてくれて経済的に助かったなどの声があった。
「実質ひとり親家庭への支援」は、当初ニュースとなったが、相談窓口に来なくとも知ってもらうため、毎年繰り返し周知する必要あり。残念ながら、HPでこの給付金の情報が掲載されているページは見つけにくい。
どこに載せれば必要な人に届くか目線での見直し、広報の改善を。
中野区の回答:
よりわかりやすい周知を目指す。
R5年度は、加えて「中野区ひとり親家庭のしおり」発行。イラストやコラムも入って、読みやすく、父子家庭や男性向けの悩み相談窓口も掲載、配慮と内容の充実度を大変評価。
何部発行して、どこで配られているか?
中野区の回答:
2500部、子ども総合相談窓口や戸籍住民課などの区役所本庁舎の窓口、すこやか福祉センターなど。
充実した内容は、どのように検討されたか?
中野区の回答:
デザインや印刷は委託にて実施したが、全体の構成や記載項目などは職員が関係機関等と連携して作成。
R6年度はひとり親家庭住宅支援事業が実施された。
現時点での評判や利用は?
中野区の回答:
申請に至った方はいないが、8月末の時点で34件の問い合わせ、申請前提の事前相談は9件。
全てのひとり親家庭向けの政策は、当然支援をするためだが、孤立を防ぎ、役所などへ接続 される「きっかけづくり」の側面も大きい。
相談件数は伸びているか?
中野区の回答:
R5年度はR4年度と比較し2倍。支援の必要な家庭と区がつながる頻度を、一定程度増やすことができていると考える。
事業充実が数字に表れたことを評価。引き続き困っている方が接続されていくことを要望。
(4)財政指標について
財政白書p22「財政指標に見る健全性・弾力性」より、歳入総額より歳出総額と繰越金や基金を抜いた「実質収支」について。
「平和の森小用地」繰り上げ償還の影響で「単年度収支」は赤字となったが、3~5%が望ましいと言われる「実質収支比率」は3.8%とその範囲に収まっている。
「単年度収支」は黒字でなくても大丈夫か?
中野区の回答:
「実質収支額」が黒字であれば、「単年度収支」の赤字は前年度の「実質収支額」より減少する。歳入歳出の決算額の状況にもよるが、継続的な赤字が続かない限りは、差し支えない。
数字をコントロールできていることが重要。
今回の落ち込みは一時的か? 今後の見通しは?
中野区の回答:
マイナスが経常化することがないよう、今後も無駄のない安定した財政運営を進めたい。
財政白書p23「経常経費の推移」、「経常収支比率」は23区平均が下がる中、中野区は 上がった。
R5年度予算は、酒井区政2期1年目、きめ細やかな区民向けの政策が多く並んだ年。それでも、「経常収支比率」は「歳入経常一般財源等」が多いため、低く推移してみえる。
「経常経費」を増やすことが将来コストとして積み上がる懸念の声もあるが、当然に不断の見直しを実行しながらも、今、この街に住んでいる中野区民へ住民サービス向上として還元していくことを会派からも求めてきた。事業見直しについての詳細は、会派の中村議員より質疑を行う予定。
区の見解は?
中野区の回答:
学校施設整備や中野駅周辺のまちづくりなど、区民生活に影響を及ぼさないように財政の弾力性を担保するための指標として「経常収支比率」を意識している。無理に低く抑えるような取り組みは行なっていないが、一般論として示される数値は数値として意識して財政運営に努める。
決算の最後に、予算書p24、R5年度は「新たな予算編成手法」が取り入れられた。指標としての成果を確認する。
当初算定878億円、決算時の歳入一般財源と充当事業費は? 実際の運用と照らし合わせてみて区の見解は?
中野区の回答:
一般財源は960億円、充当事業費は925億円。「予算編成フレーム」に対して歳入一般財源は86億円、充当事業費47億円上振れ。補正を行っているために当初のフレーム額との比較は難しい。
両方上振れしたが、これまでより再入に見合った歳出が見えてきたと考える。
R5年度予算特別委員会の中で、会派の森議員より「事業や基金への積立が検討しやすくなった」と質疑。「基金を減価償却費相当の25%を積み立て」は、逆にすると「75%は起債を活用」という考え方とも取れる。
「金利ある世界」では、より基金に重点をおいた運用を目指すべき。
将来的に、基金割合が目標としていた25%に近づいたら30%へ見直すなど、積極的な基金活用を、予算編成手法の中でも検討しては?
中野区の回答:
基金は区民サービスに影響ないよう活用してきた。起債も「公債費負担比率」10%程度で運用しているが、金利上昇を踏まえ、起債抑制を視野に入れ、基金残高を意識した財政運営に取り組みたい。
冒頭で確認した通り、R5年度は国と都の好景気に支えられた好歳入となり、酒井区政2期の1年目で新規拡充した政策も多く、人に寄り添う予算が着実に実行された財政運営となった。
しかし、「経常収支比率」のところでも話した通り、今後の見通しは相変わらず不明で、さらに厳しくなることも考えられる。
コロナ禍や物価高騰など、国や都へ大きな影響を与えている事態では、当然国や都の政策が大きく動くことが、R2~R5年度にかけて証明された。いざという時こそ、右往左往せず、区民の方を向いて、腰を据えて区政運営をしていく必要がある。
今後、好決算に支えられなくとも、どのような社会状況でもぶれない、「金利ある世界」での堅実な財政運営を要望する。
2、公園について
(1) 公園での取り組みについて
令和元年に弥生町六丁目にできた「広町みらい公園」は、指定管理事業者が入って多世代から評判良く、近隣区から人が集まる人気公園に。 R5年度は、指定管理契約の更新があり、当初から引き続きの事業者となった。
来場者の当初予定と、現在の人数は? 指定管理料の開園当初算定予算と現状の比較は?
中野区の回答:
4万5000人を想定していたが、R5年度実績は23万人。開園当初は4600万円予算計上、R6年度は6000万円。
区内の指定管理の好事例と捉えているが、何か工夫はあったか?
中野区の回答:
体験学習室を設置、公募の際に民間の能力を発揮した多世代ターゲットとするサービスの向上、地域貢献等に資するための積極的な企業事業を求めた。代表企業である日比谷花壇が植物に関する知識が豊富なため、ポタジェなど植栽管理にも力を入れた講座など、得意分野を活かした管理が特徴と、指定管理業者からも聞いている。
庁内でも、「広町みらい公園」の指定管理は成功例として共有して、指定管理の改善などに生かしてはいかがか?
中野区の回答:
庁内で共有し、他の指定管理においても参考にできる点がないか分析する。
最近、たとえば図書館なども、指定管理業者が変わらずとも面白い取り組みが増えてきた。指定管理の工夫を、改善に活かしていただきたい。
しかし、日頃の賑わいとは変わってこの夏の間、あまりの酷暑に人がほとんど見受けらず、中央部のメイン広場にはほとんど日陰がない。長期開設の水遊び場は南向きで暑い盛りに遊べず、公園が開園した当初からこの日陰のない課題を指摘してきた。
来年以降の酷暑に向け、さらなる日陰対策を検討を。
中野区の回答:
現在、テント設置可能エリア設定やパーゴラへの日影設置を指定管理者が実施。他施設での効果的な事例等を参考に、活用できる対策の導入を指定管理業者と検討。
ここには近隣では珍しい築山があり人気だったが、今は花壇で囲まれ閉鎖管理。
一時的な対応かと思いきや長期間花壇は撤去されず、次の展開を考えずに漫然と閉鎖管理状態を続けるのは、勿体無い。
公園利用者の意見を聞き、早期に使い方を検討して欲しい。
中野区の回答:
想定以上の利用頻度による芝生の消失と土ボコリが発生、適切な維持管理が継続できず、美観に配慮しながら閉鎖管理。アンケート内容の見直しも含め、利用者の意見を踏まえて検討。
同様に、本町二丁目の「本二東郷やすらぎ公園」にも、残念ながら長期間閉鎖されてい る芝そり斜面がある。
平成30年の開園当初は、区内でも珍しい高低差のある遊び場として人気だったが、やはりすぐに土が出て、早々に閉鎖管理、養生を繰り返し、結果、長期間使われていない。
元々芝そり斜面は貴重な遊び場として設計されていた。
高低差を使って遊べる遊具を設置するなど、有効活用を検討してはいかがか?
中野区の回答:
利用頻度が高く、芝の消失、土の流出、ガラの露出のほか、遠路歩行者との交錯状況もあり、安全管理の都合上、閉鎖管理。地元町会の意見も聞きながら、斜面地の有効活用できる現実的な方策を検討している。
(2)プレーパークについて
最後に「プレーパーク」について。議会からも長きにわたって開設が求められてきた。
R4年度から「プレーパークの普及啓発講演会の実施」など予算がつき、R5年度は「常設の設置に向けた検討」が始まるなど、酒井区政となって着実に前進、評価。
R5年度「普及啓発講演会」などの実績、また、R6年度「常設検討」へどのように繋がったか?
中野区の回答:
R4年度から「プレーパーク」普及啓発及び人材養成を目的として、実施。R5年度は講演会3回、計71名参加。人材育成事業9名受講。関心や認知度の向上、活動を担う地域人材の養成が推進。試行事業の効果的な実施に寄与。
初の試行実施について、参加者の数や年代、所管としての評価は?
中野区の回答:
9/6〜11までの6日間、計944名。大人420名、未就学児334名、小学生190名。ニーズの高さを再確認できた。また、常設設置に向けて子どもや保護者など利用者の意見を聞くことができた。実施ゾーンの活用方法や課題なども検証、有意義な試行を行うことができた。
次は公園内の「里山の樹林」へ移る予定。
同じ内容で実施か? 初回を振り返って改善や工夫は?
中野区の回答:
時期や設備面から水を使った遊びは限定的となるが、実施ゾーンの特徴を活かした遊びの提供を行う予定。今回の参加者アンケートなどの意見を踏まえ、必要な改善や工夫を行う。
初回実施で、場の雰囲気を作る、経験ある「プレーリーダー」の重要性を目の当たりに。「プレーパーク」には有償で、技術を持った人材配置の必要性を感じた。
所管の見解は?
中野区の回答:
安全管理を行いつつ、子どもの興味関心を引き出し、生き生き遊ぶ環境づくりを行う「プレーリーダー」の役割は重要。今後の常設にスキルや経験を備えた「プレーリーダー」が配置できるよう相応の人件費を盛り込む。
今後、「プレーパーク」もソーシャルワークの一翼を担う必要があるのでは?
中野区の回答:
子どもが主体の遊び場であるだけでなく、多様な交流や経験を得られる地域の居場所。日常的な子どもとの関わりの中で課題の発見などにつながることもで期待できる。
子どもたちが必要に応じて接続されていく場になることを要望。
地域で区民の方が実施されている「プレーパーク」でも、常設との連携や人事交流、資格をとって有償人材として活躍してもらうなど、さまざまな次の発展させる方法が見えてきたように見える。
区の見解は?
中野区の回答:
専門性を備えた委託事業者を中心に、「プレーパーク活動」を行う地域団体との交流や人材育成など継続的に実施していくことを期待。区全体の「プレーパーク活動」がより発展、活性化していけるよう今後の施策展開を検討する。
先日、江古田の森公園での「常設に向けた試行実施」に行った。
これまで、他区の「プレーパーク」も多く見てきたが、遜色のない盛り上がりで、遊びに巻き込む「プレーリーダー」の関わり方に、我が家の子も大変楽しそうだった。関わった皆さんへの感謝と共に、今後の「プレーパーク」の展開を大いに期待する。
以上。
「立憲・国民・ネット・無所属議員団」公式サイトで、中野区議会の会期日程をお知らせしています。こちらも合わせてご覧ください。