お知らせ

2023年11月29日、一般質問(河合りな)令和5年度・第4回定例会「男女共同参画の取り組み」「ユニバーサルデザイン推進」「職員体制」「動物飼育について」

令和5年第4回定例会にて決算総括質疑を行いました。

※文字数省略していますので、詳細や正確な質疑は中野区議会議事録をご確認いただき、疑問等は直接気軽にお問い合わせください。SNS等で断りなくHP文章の一部を切り取る行為はご遠慮ください。

目次

1、男女共同参画基本計画について
(1)計画に対する区の姿勢について
(2)男性にとっての男女共同参画について
(3)子どもにとっての男女共同参画について
(4)ひとり親など困難を抱える女性支援について

2、ユニバーサルデザイン推進計画について
(1)全ての人が暮らしやすい社会づくりについて
(2)ユニバーサルデザインガイドラインについて

3、職員体制について

4、福祉視点での動物飼育について
(1)多頭飼育崩壊の対策について
(2)最後まで共に暮らすことについて

1、男女共同参画基本計画について

社会全体の課題として捉えようとしない風潮、あからさまな差別はなくても未だに男性優位、構造的に男性以外の権利や尊厳が軽んじられていると感じる。男性中心の社会が普通とされてきたため、認識から外れると考える。

しかし、均質な社会を保ち続けることは、実は男性が社会の中で感じる生きづらさにもつながる。男女共同参画の推進は、様々な立場の方の社会参加に繋がり、社会のあり方を変えていくもの。

全ての人が暮らしやすい社会を作る視点で、中野区男女共同参画基本計画(第5次)について伺う。

(1)計画に対する区の姿勢について

出来上がった計画素案は前回の更新版で、審議会を設置をしなかったことも含め、区の課題認識が十分であったのか懸念。

コロナ禍では女性や社会的に弱い立場の方への影響、課題の顕在化などが政府の調査でも明らかとなり、国の令和4年「困難な問題を抱える女性への支援の法律」で取り上げられた若年女性支援、増加する単身高齢女性支援など、社会変化による現代の課題を、案に反映すべき。

まずは区の男女共同参画に対する姿勢について、取り組みを体制強化も見据え推進しては?

中野区の回答:

今年度改訂する。来年度以降、計画に基づき取り組みを進める。今後の体制について考える。

本計画の素案から案へ修正する時点でも、記述見直しや課題追加を柔軟に対応しては?

中野区の回答:

議会や区民との意見交換などでいただいた意見をふまえ、追記や修正を行い、定例会で示す。

(2)男性にとっての男女共同参画について

国の男女共同参画局の会議の主な政策にも 「男性にとっての男女共同参画」記載

強烈な縦社会、均一同質な人が集まることによっての同調圧力、社会参加の機会が少ないため退職後の社会的孤立など、男性の生きづらさを解決するためにも、男女共同参画は性別での役割固定を回避し、全ての人の意識と生活スタイルをかえ、誰もが1人の人であることを認め合える社会を作ることである。

他自治体では男性参加を主とした男女共同参画会議実施など、男性の意識変革にさまざま取り組んでいる。また、男性の日頃からの社会参加も重要。男女共同参画局のHPで、男性だけの料理活動、男性介護交流会など、具体的な男性の地域活動への参画好事例集を掲載。

男性にとっての男女共同参画について、区の見解は?

中野区の回答:

性別に関わりなくその個性と能力を発揮し、平等にいきいきと暮らすことができる社会の実現を目指すことで、誰もが暮らしやすく生きがいのある社会に繋がると考える。

地域での社会参加の具体的な取り組みを実施しては?

中野区の回答:

社会的孤立が課題となる中、特に壮年期男性の地域参加を促すことは必要と認識。事例共有し、区の事業や各団体取り組みにおける工夫を図る。

(3)子どもにとっての男女共同参画について

本計画に、区の男女共同参画意識調査の結果として「性教育」の文字の記載を歓迎。

しかし、中野区の教育現場や幼稚園・保育園で、様々実施しているのに記載が少ない。自治体によっては、子どもを取り巻く環境を章立てして計画に記載する自治体もある。様々な取り組みを、区の姿勢として具体事例で示すべき。

子どもにとっての男女共同参画に対しての区の見解と、計画への記載を充実しては?

中野区の回答:

子ども自身にのみならず、男女共同参画を推進に繋がると認識。学校等の取り組みは追加する。

(4)ひとり親など困難を抱える女性支援について

女性の社会進出、困難な状況に陥る方の支援も、男女共同参画の一つの観点。

ひとり親家庭への支援はこれまでも会派から強く求めており、本区で実現、評価。合わせて居住支援の取り組み不足を指摘。

豊島区「子育てファミリー世帯家賃助成制度」、所得の低い世帯の区内転居後家賃を一定期間助成、利用者の7割がひとり親家庭。一時的に大きな額の必要な転居費用補助があれば、別れを決意したものの経済的不安で一歩を踏み出せない方への支援に。また、相談につながれば、他の必要な支援も案内できる。将来的には、居住支援協議会の更なる充実やNPOと連携したシェアハウスなどの住居確保の新しい政策ニーズが捉えられる。

まずは居住支援の一歩として、ひとり親家庭への転居費用助成を始めては。

中野区の回答:

近年、支援体制を充実し、離婚成立前の方を含むひとり親からの相談件数は増加傾向にある。住居の相談は件数・割合ともに増加。転居費用助成の実施を検討。

先日の子ども文教委員会にて、区は高校生年代の子どもの生活実態調査の結果を報告。

子の年齢が高くなるほど生活困難度は高い傾向、親の収入が子の学校選択や行動に関連、また改めてひとり親家庭の生活困難度や経験・所得物などの欠如の経験割合が高いことが明らかに。貧困の世代間連鎖を防ぐために、経済的理由で進学不安を抱えるひとり親世帯の支援は必要。

高校進学は家庭の選択という意見もあるが、本調査では定時制やその他も含む高校など進学率合計99.1%、今や一般的。国や都の支援制度などはあるが、たとえ公立高校でも、進学時には制服代などさまざま一時的に多額の費用負担。

これまで高校生年代は中野区とつながりが薄く、支援の必要性が見えにくかった。

調査結果を踏まえ、高校進学の定着や区との今後のつながりを見据えた進学支援を検討しては?

中野区の回答:

これまで学習支援に取り組んできた一方、調査結果から義務教育終了後の高校生年代に対する支援の必要性を再認識。国の動きを踏まえ検討。

一時預かり事業、働き方の支援やレスパイトの観点からも、本計画に記載。

中野区はこれまで一時預かり事業の需要を、私立保育園を含めた全体の年間平均利用率で判断。しかし、昨年の予算総括質疑でも重点的に取り上げた通り、実際に区で利用枠が把握できる事業は、区立保育園の専用室型一時保育2園と児童館における一時預かり。区立園はLINE申し込みを実施して以降、利便性向上と見える化が進み、申し込みが集中、予約開始時点以外では取りにくいと聞いた。

社会全体で子育てをするため、公的な一時預かり機会を多様に用意し、気軽に預けられる環境になるまで拡充をと、会派から何度も申している。

今年度区の 【子ども預かり関連サービスに関するアンケート】公開内容からも、支援充実が求められる。

一時預かり事業が現在の利用枠で十分か、改めて区の見解は?

中野区の回答:

保育園などの一時保育の利用件数が、昨年度と比較し増加傾向。高いニーズが伺え、利用枠の確保・拡大をしていく必要があると認識。

短期的な充実を考えた際、私立園の専用室型一時保育の拡充は今よりも必要だが、私立園の利用率は、事業者の事情で実績定員や予約率が出せず、利用枠の確定的な確保が見込めない。

長期的には区の責任で定数確保に努めるべき。

事業効率を考えると、区立保育園や児童館などでの実施が求められるが、ハード面での課題があり、すぐの改善は難しい。公共施設全体の施設改修など機を捉え、区をあげて場所の確保を。

定数確保のため、区有施設整備計画の中で場所など、公的機関での一時預かり事業スペースを確保しては?

中野区の回答:

私立保育園の一時保育の拡充を図る一方、利用枠が確実に確保できる一次預かり事業の実施は必要と認識。立て替えを進める中で、スペースを確保、効果的・効率的な事業スキームを検討。

2、ユニバーサルデザイン推進計画について

(1)全ての人が暮らしやすい社会づくりについて

ユニバーサルデザイン推進計画も、総務委員会にて素案。UDの目標に向かい、担当所管が記載、それぞれの取り組みが明確になったことを評価。

浸透のための普及啓発冊子を作成しているが、今改定を活かした更新が必要UDとは全ての人のためのデザインで、どんな方にとっても理解しやすいものとなることが重要。

浜松市はH12年よりUDに取り組んでいる先進市で、 浜松市の普及啓発冊子は文字が少なく具体事例を中心に写真で解説、パッと見て理解できることがUDであることを実践。また、 大分県ではUDに基づいたイベント実施や学習資料など、地域の方がそのまま活用できる各種マニュアルを作成。

他地域の取り組みを参考に、普及啓発冊子の更新やさまざま浸透の取り組みを工夫しては?

中野区の回答:

更新を検討。

普及啓発にUDに詳しい方や多様な方の意見を取り入れ実施しては?

中野区の回答:

区有施設の整備で、すべての人に使いやすい施設にするため、有識者等による評価・点検の仕組みを検討中。普及啓発の取り組みなどに活用するなど、多様な意見を取り入れる仕組みを検討。

(2)UDガイドラインについて

区で、すべての人にとってわかりやすい情報発信のため、H31年に広報物作成の際の基本的事項をまとめた 「中野区情報発信のユニバーサルデザインガイドライン」を策定。

広報・情報は平等に伝わる必要があり、これまで表現への配慮は一部記載されていたが、時代に合わせた男女共同参画や多様性の観点から記載内容の拡充が求められる

他自治体では、事例イラストを多く掲載したり、発信者側向けに表現チェックシートを設けるなど工夫。

中野区内の広報物や情報発信がよりUDに配慮された表現となるよう、改定を検討しては?

中野区の回答:

UDデザインガイドライン、区が発信する広報物やHP情報はこの内容に沿っている。計画の改定にあたり、利用しやすくなる改善を検討。

3、職員体制について

これまでマンパワー不足で中野区の施策が滞っていると感じることが往々にあり、会派から果たして職員2100人体制の維持が良いか指摘してきた。

区では、必要業務にあたって職員を増やすという考え方で、会計年度任用職員の数を抑えてきたことは評価するが、区の仕事を担う職員数は何を持って適正と判断されるのか

中野区職員定数管理計画では会計年度任用職員の上限数などには触れられず、調べたところ会計年度任用職員の数を職員数で割返すと38.1%、23区中下から3番目の少なさ。さらに職員1人当たり人口は164人と23区中下から8番目で、職員と会計年度任用職員の両方で人数割合が少ないのは、23区中、中野区を含む2区のみ。

今後の職員定数を勘案する際に、職員に対する会計年度任用職員割合も検討材料にすべき。

職員数が定まるまで充分業務を遂行するため、一時的に繁忙な課での仕事の切り出しを推進、短期的な会計年度任用職員の更なる柔軟活用も視野に入れては?

中野区の回答:

会計年度し任用職員の在り方を「常勤職員を補佐する職という性質であることを踏まえ、適切な活用と管理を行う」としている。必要に応じた採用は区政運営における人的資源活用に係る手段の一つ。今後も、安定した区民サービスの提供と持続可能な行財政運営の実現を図る。

4、福祉視点での動物飼育について

(1)多頭飼育崩壊の対策について

多頭飼育崩壊とは、動物を不妊手術等をせず飼育しづつけ、飼い主の飼育管理能力を上回ると増加に歯止めがかからなくなることにより発生、飼い主の生活状況や動物の状態、周辺の生活環境が悪化する事。

区内でも保健所の把握する多頭飼育崩壊が起きている中、区はこれまで「飼い主の責任」であり、動物の課題は全て「保健所生活衛生課」の対応としてきた。しかし、繰り返さないためには、「人」「動物」「地域」の課題と認識をとらえなおす必要がある。

令和元年環境省「社会福祉施作と連携した多頭飼育対策推進事業アンケート調査報告書」、解決を困難にしている要因・課題に「飼い主が生活に困窮しており、引き取りや不妊去勢の手数料が払えない」など、飼い主の抱える固有の課題に起因のあることが明らかに。

また、全国各地で大きな課題となり、 令和3年・環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン」が策定。

「背景には飼い主の経済的困窮や社会的孤立等が複雑に絡み合っており、「人」と「動物」に係る別々の問題として対応することでは解決が難しいと考えられる」と記載。「動物」だけの課題ではないと認識を捉え直すことも合わせ、区の見解を伺う。

多頭飼育崩壊は、例えば家に伺う機会のある介護職員や民生委員、近隣住民など、様々な場面で発見される可能性がある。中には飼育崩壊に至る前に発見されるケースもあり、行政側からの支援や指導が求められ、また対応後も課題を繰り返す事例がある。

多頭飼育崩壊をSOSの一端ととらえ、発見時からその後の見守りまで、福祉視点での支援と連携が必要、事前に対応を決めることが求められる。

ガイドラインには保健所と他部局・他機関との認識の共有不足や連携体制の未構築、行政上の課題などの要因も指摘され、課題解決を困難にしているとも記載。

長野市では、多頭飼育の高齢者の自宅を訪問する際、動物愛護の担当者と共にケアマネジャーなど福祉職が同行するケースがある。世田谷区では多頭飼育崩壊も含めて 「人と動物との調和の取れた共生社会推進プラン」を作成。

ガイドラインを参考に、生活衛生課と地域支え合い推進部で協議をし、多頭飼育崩壊の発見後の状況把握や情報共有など、庁内連携の仕組みを検討しては?

中野区の回答:

多頭飼育崩壊をきっかけとして地域包括ケア的課題が潜在すると見立てた場合、他機関連携の仕組みの地域ケア会議などを活用し、早期に情報共有、各機関の専門性や地域実情に合わせた支援を行なう。

(2)最後まで共に暮らすことについて

令和4年3定一般質問にて指摘高齢独居の方が動物を飼育した場合、急な体調不良などで動物が取り残され、ひどい状態で発見されるケースもあり「愛犬手帳・愛猫手帳の改訂で工夫する、また先進事例を参考に研究」と答弁。

しかし改めて、地域で活動する方が困らないよう、多頭飼育崩壊の未然防止も含め、適正飼養や終生飼養の考え方の浸透が求められる。

台東区では 社会福祉関係者向け「地域で見守り、未然に防ごう」というチラシを作成、チェックシートや記入欄があり、課題の発見や未然防止に取り組める。福祉関係者への支援として動物に関しての勉強会や情報共有会を実施事例もある。

終生飼養の区の取り組みと、今後の多頭飼育崩壊も含めた対応と連携について見解を伺う。

中野区の回答:

区では毎年、区の獣医師会や都動物愛護推進にの協力で「飼い方教室」などペットの適正飼養・終生飼養の普及啓発に努めている。多頭飼育崩壊は、早期の発見、相談が重要。社会福祉協議会、民生児童委員協議会、地域包括支援センター等に多頭飼育崩壊の情報提供を行なっている。今後も各部署や関係機関と連携、飼い主の急病・入院時等への対応も含めた適正飼養の普及に努める。

以上。