中野&区議会報告

2025年11月25日、一般質問(河合りな)令和7年度・第4回定例会「多様な働き方とマネジメント」「女性管理職」「教育費の無償化」「広報」等

令和7年第3回定例会にて一般質問を行いました。

※文章が長いため文字数を省略しています。全文詳細や正確な質疑は中野区議会議事録をご確認いただき、疑問等は直接気軽にお問い合わせください。SNS等で断りなくHP文章の一部を切り取る行為はご遠慮ください。

目次

1、中野区人材育成総合プランについて
 (1)組織のあり方について
 (2)多様な働き方とマネジメントについて
 (3)女性管理職育成について
 (4)障害者雇用について
 (5)ハラスメントについて
2、中野区立小中学校施設整備計画について
 (1)計画の改定骨子について
 (2)旧新山小学校跡地について
3、教育に関する費用負担補助(教育費の無償化)について
4、教育委員会の広報について

1、中野区人材育成総合プランについて

策定される本プランは「中野区人材育成方針」に基づき戦略的人材育成を進める計画。

そもそも、特別区採用は、特別区人事委員会の統一試験。民間企業に加え23区内で「選ばれる自治体」になる必要がある。近年、退職者補充による採用数増と少子化による受験者減で合格率が下がる中、本区は受験情報評価で「ほどほど高めの人気区」。

人材不足は政策実現に影響するため、優秀な人材の育成・確保は、行政の質、住民サービスに直結。魅力ある職場づくりが重要。

(1)組織のあり方について

「選ばれる自治体」は、やりがいに加え、ワーク・ライフ・バランスを実現する柔軟な働き方のため、一定の人員的余力が必要。

人材育成だけでなく、業務全体の最適化を含む組織運営の企画的視点が重要では。

中野区の回答:

自らチャレンジ、成長できる組織となることが必要と考える。

育成方針の示す職員像では、新たな行政課題に対応し所管を超えて連携・解決する力が求められる。スピード感のある職場風土作りは人材育成に加え、企画課が政策推進のリーダーシップの発揮が不可欠。

本区も企画体制の一層の強化が必要では。

中野区の回答:

多様化・複雑化した課題解決に向けて、政策・区政経営の総合調整機能を強化する必要がある。組織や体制の強化について検討。

各部署の個々の人材育成でも、企画的視点による課題解決力が求められる。研修だけでなく、地域に飛び出す取り組みも含め、大学・NPO・民間企業など官民連携を推進し、幅広い経験や外部交流など接点を増やし、職員がそのキャリアを活かせる仕組みも必要。

各部署任せではなく、全庁的に推進しては。外部で学んだ人材や外部出身者のキャリアを十分に活かす戦略的人事配置を行なっては。

中野区の回答:

引き続き全庁的に推進・人事配置取り組んでいく。

(2)多様な働き方とマネジメントについて

区民サービスに資する優秀な人材確保のためワーク・ライフ・バランスが求められる。育成方針でも多様な働き方や休暇制度が位置付けられている。

R7年度特別区人事委員会勧告では、フレックスタイム制の検討が示された。勤務時間を調整できれば働き方の魅力を高め、繁忙期への人員配置による生産性向上など組織側にもメリット。

多様な働き方に対する区の見解を伺うと共に、フレックスタイム制導入を検討しては。

中野区の回答:

相談・窓口業務など、区民サービスを安定的に提供する視点を考慮し、他自治体も参考に検討。

特別区採用制度で、育児や介護など自区の特定条件の退職者を再採用できる「再採用選考(カムバック採用)」が新設。実施は各区判断で本区は未実施。

退職中に得た外部のスキルなど活かせ、採用コスト削減にもつながる。

先行区の状況を確認し、再採用選考を導入しては。

中野区の回答:

即戦力となる優位な人材確保の採用手段の一つであり、導入を検討。

フレックスタイム制・再採用選考、導入済みのテレワーク、各種休暇など、多様な働き方の広がりは業務の流動性を高める一方、マネジメントを複雑化。管理職には従来以上の能力が求められる。

本プラン骨子に「管理職育成プログラム」と記載。新人事制度が導入された場合、従来と異なる調整力と、属人化を防ぐ業務マニュアル化など具体的な方法論が必要。

管理職育成では、部署管理・部下育成に加え、多様な働き方を技術的に支える対応力強化も検討しては。

中野区の回答:

組織経営と人材育成に責任を持ち、多様かつ柔軟な働き方に対応した組織マネジメントが遂行できるよう、技術や対応力を含めた育成強化を推進したい。

人材余力確保には、日頃の業務見直しも必要。近年、デジタル活用の進展に伴う来庁者減や働き方改革を背景に、窓口開庁時間を短縮する自治体が増加。

窓口の短縮の方針化は、子育て・介護の両立など働き方の多様性や人事異動の柔軟性を生み、フレックスタイムの導入にも有効な手段にもなる。検討状況は。

中野区の回答:

総合的に検証する必要はあるが、現時点で具体的な検討は行なっていない。

本区では、新庁舎移転後の引っ越しワンストップ窓口や電子申請の普及により、証明事務の延長時間帯や休日開庁窓口利用は減少。

過去には、すこやか福祉センター窓口で区民要望に応じ休日窓口を延長したが、改めて利用実態を踏まえ見直しされた。データに基づく効率化は、区民サービス低下に直結しないと考える。

まずは休日窓口等の開設のあり方から、環境変化を踏まえて需要を把握した上で、検討しては。

中野区の回答:

ニーズ変化等を見据えたサービスの提供内容など検討。

(3)女性管理職育成について

本プラン骨子では、管理職に占める女性職員割合の低さが課題に。女性管理職比率目標の30%は、多様性に基づく組織文化形成のため、ハーバード大学の社会学者ロザベス・モス・カンター氏提唱の「黄金の3割」理論に基づく。多様な区民ニーズに応えるため、女性固有の課題とせず、組織全体で本気の改善が必要。

自治体勤務27年を経て研究者となり、女性地方公務員が昇進しにくい原因を研究する佐藤直子氏の著書「女性公務員のリアル」では、組織文化や制度慣行、同じ部署でも女性が補助側に回りやすい傾向など、無意識のバイアスがキャリア格差と昇進の性差を生むと指摘。

女性管理職育成には、本人の自覚を含むジェンダー観の研修充実に加え、区でも構造的課題がないかキャリアパスを改めて分析し、性差のないキャリア初期からの育成に努めては。

中野区の回答:

性別によるキャリアパスの差異についても分析し、能力を最大限に引き出せる育成体制を充実させる。

(4)障害者雇用について

本区では障害者法定雇用率が未達成。誰もが働ける社会実現に向け、一般企業の規範となる自治体として達成は目標ではなく必須。

障害のある方が能力を発揮しやすい環境整備や合理的配慮の充実は、業務の属人化防止など多様な人材活躍に寄与。組織全体の働き方改善につながると、庁内全体で改めて共有すべき。管理職の姿勢も問われる。

雇用率向上には理念だけでなく実践的取り組みが不可欠。業務の切り出し、手順化など、具体的方法を提示すべき。管理職には障害特性の対応力と理解促進のための実践的な行動レベルに落とし込む研修が有効。

障がいのある方の活躍機会拡大、能力発揮につながる職場づくりに向け、具体策を充実しては。

中野区の回答:

策定中の総合プランで、充実させる。

障害者雇用では、働く側の意欲と心身状況であったり、業務と適性や働き方が合わない場合もあると聞いた。トライアル機会を設ければ、就労意欲向上、定着支援、採用リスク減につながり、双方ミスマッチを減らせる。

例えば学生インターンとして職場体験を経て本区への志望につなげたり、会計年度任用職員として柔軟に実習的な業務経験を積み、常勤職員へ移行する方法が考えられる。

障害者雇用において、事前にマッチングが確認できる採用方法を検討しては。

中野区の回答:

障害者を対象にした会計年度任用職員の採用を昨年から実施している。常勤職員を目指すステップとして有効。就労経験ができる機会を引き続き検討。

(5)ハラスメントについて

総務委員会「ハラスメント防止に向けた取り組みについて」で示された全庁アンケートで、カスタマーハラスメント行為の対象に「議員」が含まれ、自戒と共に議会全体のさらなる認識向上が必要と感じた。

本区は令和4年「ハラスメントゼロ宣言」など、職場環境改善を進めてきたが、問5「過去一年以内にハラスメント行為を受けたり見たりした」が32%に対し、問25「周りからハラスメントの指摘を受けた、あるいは指摘を受けてもやむを得ないと自分で思える行為をした経験」は6%、加害側と受け手側の認識差。

ただし、全てが「無自覚な加害」ではなく、話し方や指摘方法など世代間で受け取り方が異なる場合もあり、価値観のすり合わせが必要。意見や感情を率直に、相手を尊重し伝える「アサーション」などコミュニケーション技術習得も有効。

世代間摩擦やハラスメントの防止に向け、価値観理解の促進に加え、コミュニケーション技術の研修を強化しては。

中野区の回答:

管理職に対し、研修内容・強化を図ったところ。対象者を全員に拡充、スキル向上に資する研修も充実する。

2、中野区立小中学校施設整備計画について

(1)計画の改定骨子について

子ども文教委員会で報告された本骨子は、1年1校程度の学校改築スケジュールが示され評価。近年、物価高騰や建築業の働き方改革の影響で、入札不調・工期延伸が相次ぎ、計画遅延が発生。子どもたちや地域の期待に応えられず、教育活動・費用面への影響も大きいため、今計画改定では、安定的実施が求められる。

区では事前調査など工期リスクの低減に取り組み、会派でも学校整備へ十分な職員配置を求めてきた。可能な限り工期延伸を防ぎつつ、不測の事態でも計画維持できる体制整備が必要。

本計画の1年1校程度の改築着手の確実な実現に向け、財政面の担保や職員体制について、関係所管と協議は進んでいるか。

中野区の回答:

区長部局と調整、実現可能な計画である。

学校の新旧格差是正のため、築80年を待たない早期更新を、会派で求めてきた。

  • ・骨子P14今後の学校改築スケジュール設定の考え方「築80年までに改築工事着手」
  • ・骨子P12学校施設整備の進め方「目標耐用年数を80年」
  • 中野区区有施設整備計画「建築後80年で建て替えを原則」と平準化を行う施設へ学校も含まれる

と、どれも記載に差があるよう捉えられる。

1年1校程度で学校建て替えれば最長築年数は約75年。確認したところ「目標耐用年数80年」は建物強度の目標で、委員会でも80年より早期建て替えを目指すと答弁、骨子段階の大きな変更を評価。

学校改築「80年」の位置付けについて区の明確な見解を伺うと共に、記載内容をわかりやすく変更しては。

中野区の回答:

築80年までに改築着手と示した。可能な限り早期に進める方針、素案で示す。

学校の新旧格差改善のため、骨子P12の計画的な改修及び改築に「概ね30年60年で大規模改修」と示されたことを評価。

しかし、計画数字に縛られ本来必須な改修が遅れれば、児童生徒の安全や災害時の不安が残ることを懸念。

骨子「機能回復」は防水など必須工事と考えられるが、「教育機能充実」は内容が不明確。教育方針の変更により例えば新校の廊下の壁を稼働式とするなら既存校にも適応するなど、新旧格差を減らす改修をすべき。

多様な子どもが安心して学び、教育の質を担保するのは、自治体の責務。大規模改修は必要に応じて前倒し可能か、区の見解を伺う。また「教育機能充実」はバリアフリー強化に加え、教育方針の変化に応じた改修を具体的に記載しては。

中野区の回答:

設備の状態や施設の状況を踏まえ適時適切に実施。具体例は素案で示す。

本計画の改修整備期間が近年の実態にあわせ4年に。中学校は在学3年のため、代替校舎や仮校舎で入学・卒業を迎え、新旧いずれの校舎とも関わらない生徒が出る。新校舎には思い出も関係もない、と思わせたくない。教育委員会には重く受け止めていただきたい。

建て替えが続く中で、母校に誇りが持てる仕組みが必要。ホームカミングデイや卒業生と地域の協働イベント、ボランティア活動など、卒業後も母校と関わる仕組みを整えればコミュニティスクール活性化にも繋がる。

教育委員会は卒業生が継続的に母校と関われる必要性を認識し、コミュニティスクールの中で仕組み検討を。

中野区の回答:

認識している。学校運営協議会と連携して、何ができるか検討。

(2)旧新山小学校跡地について

本計画にて、南台小学校に続き、南中野中学校の代替校舎として継続使用が示された。活用期間の延伸、今後の用途も示されず、大半が国有地のままという状況は不安材料。

区有施設整備計画に「今後区有施設を検討」と示されたが、区は現在、国と土地取得交渉中で、用途確定がないと最終的な交渉がまとまらないと聞いている。

跡地活用が延伸した以上、地域の期待と理解に応えるため、国との交渉と並行し、基本構想や設計などを代替校舎後R16年度から逆算し、地域への丁寧な説明と意見交換の機会を儲けることが不可欠。

R16年度以降に間を空けず事業展開できるよう、具体的なスケジュールを示しては

中野区の回答:

行政課題に対応のため、区有施設を整備。活用終了後、すぐに施設整備にかかれるよう検討を進める。活用方針案が固まり次第、地域の意見を聞く。

学校跡地などの方向性を議論する際、特に子育て世代や日中働く層は、資料を読みこむ時間が限られ、幅広い区民参加には多世代・多様な方が参加しやすい手法が必要。

本区でも電子申請による意見募集を行っているが、他自治体では意見聴取プラットフォームの活用など、多様な参加形態が広がっている。

本区でも、オンライン活用した意見聴取をさらに拡充しては。

中野区の回答:

より多くの意見を拾い上げ、政策に反映させるため、先進自治体の選考事例を参考に、まずは公式LINEを活用した意見聴取を実施。

3、教育に関する費用負担補助(教育費の無償化)について

★画像子どもたちが考える修学旅行と教育に関する費用負担補助実施の資料画像

子ども文教委員会で、教材費と修学旅行等の無償化が報告、会派で求めてきた「隠れ教育費の無償化」を評価。

一方、学用品は対象外で無償範囲がわかりにくく、保護者への明確な情報伝達が必要。全ての教育費の無償化に向け学用品負担軽減の工夫が求められる。学用品の中で、絵の具、ハサミなどは、学校備品として児童生徒間で供用できる。

全教育費の無償化を目指し、備品化できる学用品は各学校整備を進めては。

中野区の回答:

学校と相談の上、併用可能な学用品については、学校備品としての整備を検討。

給食費について、区内の子どもたちのための物価高騰対策として「私立学校等保護者支援の給食費相当の支給」の実施は、特別区内で対応が分かれる中、評価。

中野区基本計画素案では区立学校の給食費無償化の継続が示されているが、私立学校等は明記がない。決算資料「R6年度主要施策の成果」でも「実施計画の事業展開がR7年度で終了、次年度以降の対応は別途検討」とある。

会派として新規事業は期限を切っての検証を求めているが、総務省消費者物価指数で東京都の総合指数はR5以降、R6、R7と、物価上昇が依然続いている。

社会状況を鑑み、来年度も私立学校等の給食費相当の支給を継続しては。

中野区の回答:

次年度も引き続き事業を継続。

4、教育委員会の広報について

本区では、教育に関する費用負担補助や、新校舎整備、子どもの意見を聞く教育活動など、「子育て先進区」として取り組みは進んでいるが、成果は十分伝わっていない。

教育委員会HPは網羅的で、必要な情報を探しづらく、わかりやすい発信は、公教育への理解と信頼向上につながる。

これまで区の広報充実を提案してきたが、受け手視点に立った情報発信が重要。他自治体では、教育委員会の広報誌や、SNS発信、教育委員会の広報プランを作成。

本区でも、まずは区報の一部を活用し定期的に区立学校の取り組みや教育施策を紹介し、HPも利用者視点で改善しては。

中野区の回答:

必要と認識。広報の目的をより意識し、積極的に改善を図る。

以上。